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大谷翔平の衝撃的な場外弾で蘇る52年前の記憶 「異常な飛距離」を誇った強打者スタージェルとの共通点とは (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【大谷の場外弾は「時間の問題」とコーチたちは語っていた】

 大谷翔平は果たして場外弾を打てるのか。彼の打撃練習を日々見守っている打撃コーチ陣は、口をそろえて「時間の問題だ」と断言した。ロバート・バンスコヨックコーチはこう話していた。

「翔平は十分なバットスピードとパワーを兼ね備えている。バットトラッキングのデータを見れば、スイングスピードは常にMLB全体でもトップクラス。ブラストの数値を見ても、速いスイングで正確に芯を捉える能力がリーグ随一だと証明されている」

 アーロン・ベイツコーチも続ける。

「昔の記録では、ベーブ・ルースやミッキー・マントルが575フィートとか565フィートの特大ホームランを放ったとされているけど、当時のデータがどこまで正確だったかはわからない。確かなのは、翔平のほうがパワーがあるということ。しかも、力任せではない。てこの原理を巧みに使って、ボールを遠くに飛ばす。少なくとも1本か2本は、場外に届くはずだよ」

 ただし、大谷は最もスイングスピードが上がる"引っ張りの打球"が必ずしも多くない。基本的にはボールを引きつけて、反対方向へ打ち返すタイプだ。今季の55本塁打のうち、引っ張った打球は半分以下の24本にとどまっている。いくらパワーがあっても、反対方向への場外弾はさすがに不可能だ。そんななか、今年10月8日にはフィラデルフィア・フィリーズの左打者カイル・シュワバーがひと足先にドジャー・スタジアムで場外ホームランを放った。相手は山本由伸。455フィート(約139メートル)だった。ちなみにシュワバーは今季56本塁打のうち38本が引っ張り方向でプルヒッターである。

 それにしても、スタージェルの「507フィート(約154.5メートル)」という数字は驚異的だ。そこで筆者は今年5月、スタージェルをよく知る人々に話を聞いた。

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