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【MLB】菅野智之はトレード市場で人気株 武器は「試合を壊さない」日本球界で磨かれた投球術 (3ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

【松井の課題は被本塁打の増加】

 とはいえ、エースやローテーションの2番手として菅野を迎え入れようとする球団はないだろう。3番手以降、もしくは4番手か5番手の候補だと思われる。本命の先発投手を逃すか、その前に本命を逃した場合の保険として、菅野の獲得に動く球団もあるかもしれない。

 ということは、移籍後の投球次第では、菅野がポストシーズンの前にローテーションから外されることもあり得る。ポストシーズンの場合、先発投手はレギュラーシーズンよりひとり少ない、4人が一般的だからだ。つまり、トレードによってポストシーズンに近づいた際には、菅野はその先発マウンドに立つ機会を自ら勝ち取る必要がある。

 無論、35歳のオールドルーキーならではの、日本プロ野球での経験値を生かした投球術を発揮すれば、その道は開けるのではないだろうか。打者を圧倒して封じるのではなく、翻弄して手玉に取る投球だ。

 一方、メジャーリーグ2年目の松井裕樹(サンディエゴ・パドレス)はリリーバーとして、シーズン前半戦でフル回転した。昨シーズンの64登板はパドレスの162試合の39.5%にあたる。今シーズンの前半戦は96試合中39試合に投げたので、その割合は40.6%となる。

 昨シーズンと今シーズンの前半を比べると、3.73→5.05の防御率をはじめ、スタッツは総じて悪化している。なかでも、最近の登板で目につくのは、被本塁打の増加だ。開幕から32登板の被本塁打2本に対し、6月下旬以降の7登板は4本のホームランを打たれている。昨シーズンの被本塁打も、最初の51登板が2本、その後の13登板は6本だった。

 この傾向に歯止めをかけることが、後半戦の課題だろう。パドレスは優れたリリーフ投手を数多く擁し、リーグ2位のブルペン防御率3.20を記録している。だが、マイク・シルト監督は1試合に何人ものリリーフ投手を注ぎ込むことが少なくなく、松井がきっちりとつなぐこともパドレスの勝利には欠かせない。

 メジャーデビュー以来、松井は与死球がひとつもない。外角低目を突くことが多く、特に左打者に対してはそうだ。ぶつけることを推奨するわけではないが、打者をのけぞらせるような内角の球を織り交ぜても(その結果として与死球になっても)いい気がする。

 ワイルドカードレース3位のパドレスと、4位サンフランシスコ・ジャイアンツの差は、前半戦終了時でわずか0.5ゲームだった。1〜2勝の差がポストシーズンに進めるかどうかを分けることになりかねない。これからの後半戦、さらにリリーフの重要性が高まるのは間違いない。

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【写真】大谷翔平フォトギャラリー SHOW TIME!

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