【MLB】菅野智之はトレード市場で人気株 武器は「試合を壊さない」日本球界で磨かれた投球術 (2ページ目)
【制球に優れる菅野の価値は高い】
昨年7月下旬、菊池はトレードでトロント・ブルージェイズからアストロズへ移り、そこから10登板の60.0イニングで奪三振率11.40、与四球率2.10、防御率2.70という好成績を残した。今シーズンの後半戦もその再現、あるいはさらに上の投球が期待される。
エンゼルスは現在、全30球団のなかで最長となる「10年連続ポストシーズン進出なし」を継続している。その不名誉な記録に終止符を打ち、菊池がその立役者のひとりになれば......。エンゼルスのファンの間で菊池の名前は永く語り継がれるはずだ。大谷翔平(現ロサンゼルス・ドジャース)とは違う意味で、エンゼルスの伝説になり得る。
一方、菊池と比べると、菅野の防御率は1点以上も高い。前半戦は18登板の99.1イニングで奪三振率5.35、与四球率1.99、防御率4.44という記録だ。
もっとも、メジャーリーグ1年目ということを踏まえると、及第点のシーズン前半戦ではないだろうか。ア・リーグで「チームの試合数×1.0イニング以上」の34人中、防御率と奪三振率は最下位ながら、与四球率は7位に位置する。
オリオールズで先発10登板を記録した5人のうち、菅野の防御率はディーン・クレーマーの4.17(リリーフ1登板を除く)に次いで低い。彼ら以外の3人は防御率5点台だ。また、6月20日に15登板目を終えた時点で菅野の防御率は3.55だった。その後は2登板続けて6失点以上(自責点6以上)を記録したが、前半戦最後の登板は6イニング3失点(自責点3)と持ち直している。
7月末のトレードデッドラインまでに、菅野はオリオールズから違う球団に移る可能性が高い。借金9を抱えて前半を終えたオリオールズは、まず間違いなくトレード市場で売り手に回り、今オフにFAとなる選手のなかに菅野も含まれているからだ。
オリオールズから移籍すれば、菅野にはポストシーズンのマウンドに上がるチャンスが出てくる。制球に優れている菅野は、与四球を連発して試合を壊す「自滅」の心配がほとんどない。ここまで1イニング2与四球は、別々の試合で3度。3与四球以上のイニングは皆無だ。1試合に4人を歩かせたこともない。
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