【夏の甲子園2025】春夏連覇を目指す横浜の秘密兵器、片山大輔が語る「ワンポイントリリーフ」の矜持
高校野球の継投は難しい。
絶対的なエースに頼る時代は終わり、複数の投手で酷暑の甲子園を戦う時代になった。だが、大観衆が見守る非日常空間で、いつもどおりの力を発揮するのは困難を極める。投手が替わった途端、試合の風向きが一変することも珍しくない。
高校野球監督に「継投の鉄則」を聞くと、多くの監督はこう答えるだろう。
「替えるなら、イニングの頭から」
イニング途中に走者がたまった状態で交代するよりも、イニングの最初からマウンドに立たせたほうがいい。それは高校野球界の「常識」と言っても過言ではない。
しかし、そんな常識を打ち破るような存在が、横浜(神奈川)にいる。
最速146キロを誇る横浜の片山大輔 photo by Ohtomo Yoshiyukiこの記事に関連する写真を見る
【神奈川大会はすべて打者一人で交代】
背番号18、片山大輔(3年)。
片山は高校野球では極めて珍しい、ワンポイントリリーフである。
「横浜の大輔」と聞けば、伝説的な大投手である松坂大輔(元西武ほか)を連想するだろう。だが、片山の名前の読みは「おおすけ」である。
「親から言われるんです。『おおすけ』のほうが、逆に覚えてもらいやすいんじゃない? って」
片山は苦笑交じりに、そう漏らした。
身長183センチ、体重86キロのたくましい体躯。最速146キロのスピードに、キレのあるスライダーを武器にする左腕。実力は十分だが、今の片山の登板機会はイニング途中の打者1人に限定されている。今夏の神奈川大会は3試合に登板し、すべて打者1人で交代した。
横浜には奥村頼人(3年)と織田翔希(2年)というプロ注目の左右二枚看板がいる。そのチーム事情を差し置いても、片山をワンポイントリリーフとして使うのは、あまりにも贅沢に感じられる。
ワンポイントで投げるために、どんな準備をしているのか。もっと長いイニングを投げたくはないのか。「横浜以外のチームならエースになれるのに......」と恨めしく思うことはないのか。片山に聞きたいことは、たくさんあった。
1 / 4
著者プロフィール
菊地高弘 (きくち・たかひろ)
1982年生まれ。野球専門誌『野球小僧』『野球太郎』の編集者を経て、2015年に独立。プレーヤーの目線に立った切り口に定評があり、「菊地選手」名義で上梓した『野球部あるある』(集英社/全3巻)はシリーズ累計13万部のヒット作になった。その他の著書に『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! 野球留学生ものがたり』(インプレス)『巨人ファンはどこへ行ったのか?』(イースト・プレス)『下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル』(カンゼン)など多数。




























