【夏の甲子園2025】春夏連覇を目指す横浜の秘密兵器、片山大輔が語る「ワンポイントリリーフ」の矜持 (2ページ目)
【選抜決勝戦での1球リリーフ】
片山の存在を世に広く知らしめたのは、今春の選抜決勝戦(横浜対智辯和歌山)だろう。
横浜が3対1とリードした6回表、一死三塁の場面で智辯和歌山の主砲・福元聖矢が打席に入った。カウントが2ボール2ストライクになった時点で、横浜の村田浩明監督は投手交代を指示する。先発した織田に替わり、片山がマウンドに上がった。
片山はスライダーを投げ込み、福元を空振り三振に仕留める。たった1球で片山は交代が告げられ、ベンチへと戻った。
「投げた瞬間、『やべ!』って思いました。スライダーが抜けたので、見逃されたらボールでした。でも、腕を強く振れたから三振を取れたのかなと思います」
片山は極限状態をそのように振り返る。この「片山の1球」の直後、横浜打線が6得点と爆発。最終的には11対4のスコアで優勝を飾っている。
村田監督は試合後、片山の集中力を考慮して打者1人で交代させたという主旨のコメントを残している。本人はどう感じていたのか。
「自分のなかでも三振が取れてホッとしたところがあったので、あのまま次のバッターに投げていたらどうなったのかな......と思ってしまいますね」
決勝戦の前日、村田監督から「1球(のみの登板)もあるぞ」と告げられていた。片山は「ここで(自分の出番が)くるとは思わなかった」と戸惑いつつも、ブルペンで準備は進めていた。
【集中力は自然と高まる】
片山はチームのムードメーカーという側面もある。ベンチでは大きな声を出してチームを鼓舞し、守備中には伝令として監督からの指示を伝える。こうしたベンチワークをこなしながら、自身の出番に備える。
「監督から『この場面でいく』とは言われません。でも、『(肩を)つくっとけ』と言われたら、心の準備を始めます。ブルペンでピッチングをしながら、『そろそろくるんだろうな』と思った瞬間に(出番が)くることもあれば、『えっ、ここでくる?』ということもあります。監督の考えを理解して、準備するようにしています」
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