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【MLB】大谷翔平の驚愕のホームラン量産メカニズムとは? 名コーチ・伊勢孝夫が解説 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text y Kimura Koichi

伊勢孝夫氏が作成した昨シーズン大谷翔平が放った54本塁打のコース別のグラフ伊勢孝夫氏が作成した昨シーズン大谷翔平が放った54本塁打のコース別のグラフこの記事に関連する写真を見る── なぜ大谷選手はミスショットが少ないのでしょうか。

伊勢 スイングの再現性という部分で、重要になるのが打席に入る際のルーティン。大谷はネクストバッターズサークルから打席に入ると、ベースとの距離や立ち位置をしっかり確認しています。じつは球場によって、ピッチャーの見え方が変わってくることがあります。でも大谷のように、毎回同じルーティンで立ち位置を確認する。そうすることで球場が変わったとしても、同じポイントで打つことができる。彼の安定したミート力と飛距離は、打席に入った時点で決まると言っても過言ではありません。このルーティンこそが、大谷がホームランを量産する秘訣のひとつと言えるのではないでしょうか。

【高めゾーンへの対応力】

── 先ほど、うまく打った本塁打は4本ぐらいとおっしゃっていましたが、具体的にはどのホームランでしょうか。

伊勢 まず、高めのフォーシームをうまく打った打席として挙げたいのが、5月4日のブレーブス戦での8号、5月6日のマーリンズ戦での11号、9月20日のロッキーズ戦の52号の3本です。1本目は145キロのフォーシームをライトスタンドに、2本目は154キロの外角高めのフォーシームをセンターへ、3本目はインハイのフォーシームをセンターへ打ったものでした。

 高めの速い球というのは、いい角度で打つのが難しく、下からバットが出てしまうとポップフライになりやすいんです。でも大谷は、きれいにレベルスイングでミートしていました。なかでも印象的だったのは3本目。インハイの球に対して窮屈になることなく、ヘッドを効かせて叩き、センターにスタンドインさせた。昨年なら打ち損じて、凡フライになっていた高さです。

── 高めでもアッパースイングで打ち上げるのではなく、レベルスイングでライナー性の当たりを心がけている?

伊勢 無理に打球を上げようとしなくても、大谷の場合は強くミートさえすればスタンドまで飛んでいきます。特に昨シーズンは、高めの球をうまく打っている印象がありました。ただ、31号はインローのスライダーをライトポール際に運んだものでした。ふつうならファウルになってしまうコースなのですが、大谷はインサイドアウトの軌道でしっかり捉えたから打球が切れなかった。あれは見事な技術でしたね。

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