佐々木朗希はどの球団でMLBデビューを果たすのか? パドレスはドジャース、ブルージェイズよりもいい相性?
ダルビッシュ(左)のいるパドレスは、佐々木にとって好環境(写真は2023年WBC) photo by Kyodo News
後編:佐々木朗希「最終球団候補との相性」考察
このオフ、メジャーリーグの移籍市場で注目を集めている佐々木朗希がいよいよ契約可能時期を迎える。最終候補に絞られたと言われているのが3球団。後編は前編のロサンゼルス・ドジャースに続き、サンディエゴ・パドレス、トロント・ブルージェイズについて考察する。
【パドレスは長期的視点、本拠地規模も最適か?】
今回の"佐々木朗希争奪戦"ではドジャースの対抗馬と見られていたサンディエゴ・パドレスも、順当にファイナリストに残った。当初から指摘されていた通り、フィットのよさでは同じく最終候補に入ったドジャース、トロント・ブルージェイズと比べてもパドレスがトップではないだろうか。
チーム内に多くの日本人スタッフを擁しているだけではなく、投手陣にはダルビッシュ有、松井裕樹がいる。特にほかの日本人メジャーリーガーから慕われている38歳の大ベテラン、ダルビッシュの存在は心強いはず。サンディエゴの気候の良さ、過ごしやすさは折り紙つきであり、その一方でライバルのドジャースほどファン、メディアのプレッシャーが激しいわけではない。
「ロウキがこれまでメディア絡みで楽しい経験をしていないことを考えると、小規模から中規模な市場のチームのほうが着地点として、より有益かもしれないという議論もある。小規模な市場にいることは彼にとって有益かもしれない」
ジョエル・ウルフ代理人が昨年のウィンターミーティングの際にそう述べていたことも思い出される。カリフォルニア州の都市ではあってもスモールマーケットの枠内に入るパドレスは、まさにおあつらえむきだろう。
パドレスの投手事情的にも佐々木はぜひとも欲しい選手に違いない。エースのジョー・マスグローブは右肘手術で離脱し、ディラン・シース、マイケル・キングはどちらも2025年が契約最終年。ダルビッシュも不惑に近づいており、次代を担う存在として佐々木に白羽の矢を立てたのは理解できる。
「佐々木(獲得)に向けていくつかの理由で好位置にいると感じている。私たちはサンディエゴで毎晩球場のチケットを完売させている強豪チーム。ワールドシリーズ制覇を達成し、自らのレガシーを築くチャンスがある」
マイク・シルト監督がウィンターミーティング中、そう熱く語って"ロウキ強奪"に強い意欲を示していたのは、記憶に新しい。その当時から『USA Today』紙のボブ・ナイチンゲール記者のように、「ドジャースよりもパドレスの方が有力なのでは」とみていた米メディアも決して少なくなかった。
1月中旬、パドレスの本拠地ペトコ・パークで、チームカラーである茶色のシャツを着た佐々木とみられるピッチャーがキャッチボールをする映像がSNSで拡散された。これが本当に佐々木だったとすれば、そこにはどれだけの意味があるのか。佐々木は自身のレガシーを築く場所としてサンディエゴを選んだのか。パドレスの努力に対する最後の審判は、もうすぐ下される。
1 / 2
著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう