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菊池雄星を「逃すわけにはいかなかった」アストロズの思惑 青木宣親を放出してWS制覇した2017年と似ている? (2ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

【アストロズの先発ローテ事情は?】

 ブロスとローパーフィールドはそれぞれ、6月21日と4月30日にメジャーデビューしている。早ければ来シーズンにも、ローテーションと外野の一角を占める可能性もある。ワグナーもすでにAAAまで上がってきている。ちなみに、ワグナーの父はアストロズなどで通算422セーブを挙げたビリー・ワグナーだ。

 未来の原石よりも台頭間近の選手を交換要員に選んだのは、ブルージェイズの意向だと思われる。菊池をはじめブルージェイズがこの夏に放出した選手の多くは、今オフにFAとなる。ただ、来オフにFAのブラディミール・ゲレーロJr.(25歳)とボー・ビシェット(26歳)は手放さなかった。この動きから察するに、ブルージェイズは数年を費やして再建を行なうのではなく、来シーズンの浮上を目指しているように見える。

 一方、アストロズのゴールは、8年連続ポストシーズン進出と、2年ぶりのワールドシリーズ優勝だ。そのためには、先発投手の獲得が最優先課題だった。

 本来なら、ローテーションに並んでいるはずの投手のうち、ホゼ・ウルキディとクリスチャン・ハビエルは、6月初旬に揃ってトミー・ジョン手術を受けて今シーズンを終えた。さらに、ルイス・ガルシア、ジャスティン・バーランダー、ランス・マッカラーズJr.も故障者リストに入っている。この3人のうち前2人は8月前半に復帰できそうだが、ガルシアはトミー・ジョン手術明けで、バーランダーは41歳。以前のような投球ができる保証はない。

 ともに30歳のフランバー・バルデスとロネル・ブランコはローテーションの1〜2番手を形成しているものの、あとのふたり、20代半ばのハンター・ブラウンとスペンサー・アリゲッティは安定感に欠ける。トレードで放出したブロスも、移籍前の先発3登板は防御率6.94だ。

 アストロズは、先発投手だけでなく一塁手も欲しがっていた。大不振のホセ・アブレイユを6月半ばに解雇したが、アブレイユに代わって一塁を守っているジョン・シングルトンも結果を残しているとは言いがたい。

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