大谷翔平の「ライバル」は誰か? 今季メジャーの投手・野手からひとりずつピックアップ (3ページ目)

  • 杉浦大介●取材・文 text by Sugiura Daisuke

【ワールドシリーズでの対決も期待のスラッガー】

 もうひとりは野手。現時点の人気、格、ステータスといった面を考慮すると、大谷に最も近い位置にいるのはニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジだろう。

 本塁打王に2回、MVPに1度輝いている身長約2mの巨漢スラッガーは、大谷と同じくクリーンなイメージのスーパースター。今季も27本塁打を放ち、両リーグ単独トップに君臨している。

 対戦数が少ないだけに"大谷のライバル"というイメージはなかったが、2017年に52本塁打、2022年に62本塁打を放ったジャッジも、紛れもなく"球界の顔"であることは間違いない。

 「『デカいなあ』と思います(笑)。見慣れないサイズというだけでも印象的ですけど、どういう点差でも、どういう状況でも自分のバッティングを崩さずにプレーしているのがとても印象的。見ていて勉強になります」

『ESPN』で中継された6月9日の試合前、インタビューを受けた大谷はジャッジの存在感と実力をそう絶賛していた。

 ニューヨークで6月7〜9日に行なわれたヤンキース対ドジャースの3連戦の際、ふたりの対決は"ワールドシリーズ前哨戦"とまで呼ばれるほど大きな注目を集めた。ヤンキースタジアムでは、大谷とジャッジのコラボレーションによるボブルヘッドが特別に売り出されたほどだ。

 特に9日のゲームでは、両雄の"一騎討ち"が4万8023人の大観衆を沸かせた。とは言っても派手なアーチ合戦ではなく、勝負になったのは大谷の"足"とジャッジの"肩"。8回、二塁打で出塁した大谷は一死で三塁に進み、後続打者の浅い右飛で本塁を狙った。

 強肩のジャッジがライトから投じた93.4マイル(約150キロ)の好返球でギリギリのタイミングになるかと思いきや、スプリントスピード秒速29・4フィート(約8.96メートル)で駆け抜けた大谷は難なく生還。このハイレベルの攻防のあと、ジャッジは「彼は速いね」と舌を巻き、大谷の総合力を称えた。

「僕が95、96マイルが投げられたら(大谷をアウトにする)チャンスがあったかもしれないが、彼はスピードスター。すばらしいアスリートだ。球場全体に打球を飛ばし、あんな浅い打球でも犠飛で生還してしまう。体の状態が万全な時は投球もするんだから、最高の選手だよ」

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