レッドソックス傘下で苦しむ上沢直之 30歳で新たに挑戦するフォーム修正に「自分を信じてやるしかない」
【マイナー降格後もアピールできず】
ウースター・レッドソックスのクラブハウスに入ると、先発を終えたばかりの上沢直之がiPadでその日の登板を丹念に振り返っていた。
メジャー再昇格を目指して試行錯誤を続ける上沢が5月22日(現地時間。以下同)、本拠地のマサチューセッツ州ウースターで行なわれたオリオールズ傘下ノーフォークとの3A戦で、3回を投げて4安打4失点(自責点4)、3四球3三振。その日の71球中、ストライクは34球のみと制球が定まらなかった登板を反省する真剣な表情が印象的だった。
「今日はこっちにきてから一番よくなかった。バッターと勝負するというか、ストライクを入れるので精一杯だったんで、『こういう結果になるよな』という感じです」
レッドソックス傘下でメジャー昇格を目指す上沢この記事に関連する写真を見る photo by AP Photo/John Bazemore
オフにタンパベイ・レイズとマイナー契約した上沢は、開幕前にボストン・レッドソックスに移籍。4月28日にメジャー初昇格を果たすと、レッドソックスでは2試合、計4回を投げて防御率は2.25とまずまずの成績を残した。チーム事情から5月8日に降格となったが、メジャー帯同している間の投球は悪くなかっただけに、再昇格は時間の問題かと思われた。しかし――。
降格後、5月10日の先発では4回を5安打3失点、16日のリリーフ登板は5回を投げて7安打2失点。最新の22日まで含め、12イニングで16安打9失点という内容ではアピールできているとは言えないだろう。特に、珍しくコントロールが乱れた22日の登板後、30歳の右腕が悔しさを隠しきれずにいたのは無理もない。
もっとも、この日はストライクを投げることに苦心した理由がある。それは、また新しいことに挑んでいるため。さらなる飛躍を目指し、上沢は登板2日前からフォーム修正に取り組み始めたのだという。
「フォームの意識を変えて練習したので、前のフォームとのギャップでコントロールがうまくいかなかった。出力は今のフォームのほうが確実に出るので、次の登板までの時間でしっかりやっていこうと思っています」
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著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう