大谷翔平、ダルビッシュ有とも縁のあるDバックスコーチが見た王者ドジャースと「それがベースボールだ」の意味 (2ページ目)

  • 奥田秀樹●取材・文 text by Okuda Hideki

【大谷奮闘も因縁の先発投手を崩せず】

 その意味で、5月20日から22日の対ドジャース3連戦はとても重要だった。強いドジャースを敵地で倒すことができれば、手ごたえを得て、上昇機運に乗れる。第1戦は山本由伸に7回途中まで2点に抑えられ4対6と敗れたが、第2戦は7対3、第3戦は6対0で連勝した。

 第2戦は2回に1死から若手のドジャース先発右腕ギャビン・ストーンを攻略。ゲームプランどおり、下位打線がスライダーを主とする変化球を反対方向にはじき返し、4連打で2点を先制した。ダイヤモンドバックスの先発は右腕ブランドン・ファット。昨季の地区シリーズ第3戦でドジャースを5回途中まで2安打無失点に抑えた。ドジャースの打者はリベンジのチャンスだったが、この日も抑えられた。

 ドジャースが攻略の糸口をつかんだのは、昨季はチームにいなかった大谷翔平。4回先頭でチーム初安打となるレフト左への二塁打。1死後12個目の盗塁を、今季初の三盗で決め、昨季ゴールドグラブ賞を獲得した捕手ガブリエル・モレノの悪送球を誘って1点を返している。

 さらに6回は1死三塁の好機で、2ボールからファットのチェンジアップを捉えると痛烈な打球が一二塁間を抜け、三塁走者を迎え入れた。さらに次打者フレディ・フリーマンの打席で二盗に成功。ウィル・スミスの適時二塁打をおぜん立て。これで3対4と追い上げ、終盤の逆転劇が期待されたが、ドジャースのリリーフ、マイケル・グローブが低めのスライダーをジョク・ピダーソンに3点本塁打とされ、試合が決まった。

 デーブ・ロバーツ監督は「翔平はアメージング。(劣勢でも)盗塁を決めてチームにエネルギーをもたらし、いけるという肯定的な気分にさせてくれた。バットでも足でもゲームの流れを変えられる」と称えたが、ファットにリベンジできず、声が沈んでいた。

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