山本由伸はオリックス時代の調子に戻ってきた メジャーデビュー10試合で見えてきたもの (2ページ目)

  • 宇根夏樹●取材・文 text by Une Natsuki

【デビュー以降は長打を複数打たれていない】

 山本の防御率は、デビュー登板の1イニング5失点を除くと、53.0イニングで2.38となる。9登板とも、少なくとも5イニングを投げ、大崩れはしていない。半数近い4登板は自責点ゼロ。あとは自責点2と自責点3が2登板ずつと、自責点4が1登板だ。

 オリックス時代と比較すると、今シーズンは長打を多く打たれている。過去3シーズンの被本塁打は、7本、6本、2本。今シーズンの被本塁打は、すでに6本を数える。ホームラン以外の長打──二塁打と三塁打の合計も、過去3シーズンの20本、27本、18本に対し、今シーズンはここまで14本だ。

 日本プロ野球とメジャーリーグの打者のパワーの違いを考慮すると、これはやむを得ないことかもしれない。むしろ、長打を打たれることがあっても、傷口を広げていない点に注目すべきではないだろうか。デビュー登板は1イニングに2本の長打──三塁打と二塁打を喫したが、その後、複数の長打を打たれたイニングはない。1イニングに1本か0本ということだ。

 各登板のイニングは、増加傾向にある。3月30日〜4月12日の3登板は5イニングずつだったが、4月19日以降は6登板中5登板が6イニング以上で、5月13日も6イニングまであと1アウトのところまで投げた。

 そして、5月20日の投球数は100。初めて三ケタに達している。3月30日以降の9登板を3登板ごとに区切ると、それぞれのスパンの平均イニングは、5イニング→6イニング→6.2イニングとなる。

 これらのデータをもとに考えると、山本の投球はメジャーリーグでもすでにオリックス時代に近い水準に達している、と言っても過言ではない。そしてこれから、さらに向上してもおかしくない。

 ちなみに昨シーズン、千賀滉大(ニューヨーク・メッツ)は最初の10登板が55.0イニングで、奪三振11.45と与四球率5.07、防御率3.44だった。一方、シーズン全体では29登板の166.1イニングで、奪三振率10.93と与四球率4.17、防御率2.98を記録。シーズンを3つのスパンに分けると、11登板目〜20登板目の55.2イニングが防御率3.07、21登板目以降の55.2イニングは防御率2.43だ。

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