日米通算200勝達成のダルビッシュ有に元専属捕手・鶴岡慎也は「投げることへの執着心は20歳の頃とまったく変わっていない」 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi

【ダルビッシュとの一番の思い出は?】

── 2006年から鶴岡さんとバッテリーを組む機会が増えました。

鶴岡 2006年に彼は12勝を挙げ、チームも1981年以来25年ぶりのリーグ優勝を遂げます。以来、6年連続2ケタ勝利、5年連続防御率1点台。その成績と比例するように、チームも常勝軍団へとなっていくわけです。

── その後、ダルビッシュ投手は2012年にメジャーに移籍されます。

鶴岡 当時から彼が衰える姿は想像できなかったし、実際、今もバリバリ投げています。ツーシームをはじめ、変化球を操るパフォーマンスは進化しているようにさえ見えます。36歳を迎える昨シーズン前、新たに6年契約を結びましたが、その評価がすべてですね。

── バッテリーを組んでいたなかで、一番思い出に残るシーンは何ですか。

鶴岡 挙げたらキリがないですが、ダルビッシュ投手のルーキーイヤー(2005年)に鎌ヶ谷スタジアムで行なわれたイースタンリーグで、初めてバッテリーを組んだ試合です。試合中に、たとえばスライダーの曲がりの幅を変えたり、フォークをシンカー気味に落としたり、いろいろ試していたのが思い出されます。150キロを超すスピードボールを投げるのに、「指先が器用な投手だな」「変化球を投げるのが好きな投手なんだ」というのが第一印象で、それが一番思い出に残っています。

── 日米通算200勝(NPB93勝、MLB107勝)を達成するような投手になると思いましたか。

鶴岡 田中幸雄さんや稲葉篤紀さんら、通算2000本安打を達成した打者は間近で見ましたが、200勝というのは未知の世界。ただ、達成したから言うわけではありませんが、1年目から一軍で投げている姿を見ていたら、大きなケガさえなければ、いずれは達成するだろうと思っていました。

── 通算199勝目となったドジャース戦(5月13日)では、マウンドで吠えるなど感情をあらわにしていました。

鶴岡 超強力打線のドジャースは、ナ・リーグ西地区で優勝を争う当面のライバルですから、特別な思いがあったんでしょうね。大谷翔平選手(ドジャース)と一緒で、チームを勝たせてワールドシリーズに出たいという気持ちが強いのでしょうね。

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