打者・大谷翔平の進化をデータで分析 規定打席に達した2021年から大幅に改善してきたふたつの数字とは? (2ページ目)

  • 井本佳孝●取材・文 text by Imoto Yoshitaka

 その後の3年間の数字も見てみたい。46本塁打を放ってタイトル争いに絡み、MVPを受賞して迎えた2022年シーズンは、開幕から38試合で打率.261、8本塁打、27打点。打率や本塁打、打点に大きな変化は見られないが、注目したいのは三振数と四球数だ。三振は38で前年より10個減らし、四球も13と5つ増えている。

 大谷はこのシーズン、年間の本塁打は34本に減らしたものの、トータルの打率は.273と前年の.257から大幅に上げ、三振数も161個と189個から大きく減らしている。粗さもあるパワーヒッターから、確実性も備えたバッターへと成長していった。

 2023年になると、その傾向はより顕著になる。このシーズンは開幕38試合で打率.288、8本塁打、25打点。三振の数は32で四球の数は18とさらなる改善が見られた。

 大谷は2023年シーズン、44本塁打で日本人初のホームラン王のタイトルを獲得したが、打率も.304と、規定打席に到達したシーズンのなかではプロ入り初の3割を達成。メジャーに渡った日本人選手ではイチロー(2001年から10年連続)、松井秀喜(2005年)しか成し遂げてない領域に足を踏み入れた。

 そして今シーズンは、打者に専念するという過去3年にはないアドバンテージはあるものの、安打を積み重ねて高打率をキープし、本塁打も量産態勢に入っている。大谷が打者としてより高みを求め、取り組んできた成果がひとつの形になり始めている。

【強力なチームメートのおかげで負担が軽減】

 もちろん、大谷の好調を語るうえで、新たなチームメートの存在は欠かすことができない。1番を打つベッツは開幕から5試合で4本塁打を放つロケットスタートを切り、3月、4月は打率.377、6本塁打、OPS1.101で自身3度目の月間MVPを受賞した。大谷も「ほぼ間違いなくムーキーが塁に出てくれるので、ポジティブな形で打席に立てている」と語るが、この驚異の1、2番コンビは引き続きドジャースの武器となるだろう。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る