大谷翔平は得点圏打率が低くても貢献度大 ブレーブスは絶不調の主軸3人をオズナらがカバー (2ページ目)
【ブレーブスの主軸3人は深刻な状態だが......】
不振の主軸3人に代わり打撃陣の中心となったオズナこの記事に関連する写真を見る 深刻なのは、アトランタ・ブレーブスの主軸打者3人だ。ちなみに4月末日までの1番ロナルド・アクーニャの得点圏打率は.222、3番オースティン・ライリーは.171、4番で昨季本塁打王のマット・オルソンは.188である。彼らは得点圏で打てなかっただけでなく、トータルでひどいスランプだ。アクーニャは打率.245、出塁率.366、長打率.318。1番打者として出塁率は悪くないが、長打が打てていない。本塁打1本、二塁打5本だけである。去年は打率.337、41本塁打、73盗塁の大暴れでナ・リーグMVPを獲得しただけに、落差が大きすぎる。
スポーツ専門サイト『ジ・アスレチック』のデービッド・オブライエン記者は、不振はスタットキャストで見ても明らかだと指摘している。ハードヒット率、バレル率はキャリア最低の数字で、昨季は三振率が11.4%に減少していたのに、今季は26%とそもそもバットにボールが当たらない。メンタルエラーも出る。4月28日のクリーブランド・ガーディアンズ戦、9回の最後の打者となったため、延長10回は(タイブレークのため)二塁ベースに立たねばならないのに行くのが遅れたことで、先頭打者のオジー・アルビーズはペナルティを科され、カウント0―1からのスタートになっている。
3番ライリーは打率.226、出塁率.299、長打率.365、OPS.664で、本塁打は2本。オルソンは打率.202、出塁率.317、長打率.385で、本塁打3本である。
2023年はアクーニャとライリーふたり合わせて91本のホームランをかっ飛ばし、236打点を稼いだが、今年はここまで5本塁打、29打点である。ブレーブスのケビン・サイツァー打撃コーチは「オルソンとライリーは(打撃の)メカニックスが少し狂っているし、アクーニャも昨季のようにはシンクロしていない」と説明している。
とはいえ、スランプはずっと続くものではない。例えばライリーは打球の質は徐々に上がっている。xwOBAは、スタットキャストのトラッキング技術を用いて、打球の速度、角度、および方向などの情報を元に、打者がどれだけ良いコンタクトをしているかを弾き出す指標だ。実際の打席結果に関係なく、打者の今後の成績を予測するのに有効で、ライリーのxwOBAは4月23日の.316から4月末には.349に向上。そして5月1日のシアトル・マリナーズ戦では、三塁打を含む2安打2打点だった。
オルソンも結果にはつながっていないが、4月のハードヒット率は57.7%でトップレベルだし、打球平均速度も上位だ。問題は、打球角度が14.4度で自己平均の17.2度から下がっていること。打球がもっと上がってくれば、結果も伴ってくるのかもしれない。
ブレーブスは主軸3人が不調なのに、4月30日の試合を終えた時点でドジャースに逆転を許すまでは、チームOPS(出塁率+長打率)でずっと首位だった。これはほかの打者が活躍したからにほかならないが、なかでも指名打者のマルセル・オズナ(33歳)はここまで、打率.327、出塁率.400、長打率.636、OPS1.036。メジャー全体で見ても、OPSは3位、31打点は堂々1位だ。
オズナ、アルビーズ、ハリスらのおかげでブレーブスの得点圏打率は.313で、ドジャースの.262を大きく上回っていた。だが、そろそろ主軸の3人が打たないと、勝利の方程式に狂いが生じてしまう可能性はある。
著者プロフィール
奥田秀樹 (おくだ・ひでき)
1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。
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