藤浪晋太郎はメッツにとって「低コストのギャンブル」 新天地で完全開花なるか

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke

【ボールは一級品。メッツで完全開花なるか】

 藤浪晋太郎がニューヨークへ――。ボルチモア・オリオールズからFAになった藤浪は今オフ、大都会に本拠地に置くメッツとの1年契約を発表した。年俸は335万ドル(約5億300万円)で、最大85万ドル(約1億2800万円)の出来高もつくという。

キャッチボールをするメッツの藤浪 photo by Kyodo Newsキャッチボールをするメッツの藤浪 photo by Kyodo Newsこの記事に関連する写真を見る

 昨季、大谷翔平をも上回るメジャー日本投手最速の102.6マイル(約165.1キロ)を計測し、100マイル(約161キロ)以上の球を年間計136球も投げた豪腕がニューヨークにどんな形で"ハマる"かが楽しみだ。昨季75勝87敗でナ・リーグ東地区4位に沈んだメッツで、エースの千賀滉大とともに藤浪がどんな貢献をするかが注目される。

 もっとも、『The Athletic』のメッツ番記者、ウィル・サモン氏によると、「チーム内での藤浪への期待感はそこまで大きいわけではない」という。

「昨季の防御率が7.18だったことを考えれば、藤浪のメッツでの立場が確固たるものではないとしても当然だ。ブルペンの席が保証されているわけではなく、キャンプ中にスポットを争うことになる。開幕までにフロントを感心させられなかった場合、マイナーからのスタートもあり得る」

 背景には、メジャー1年目の藤浪はアップダウンが極めて激しかった、という事実があるだろう。

 昨季、藤浪はオークランド・アスレチックスでは5勝8敗、防御率8.57という厳しい成績だったが、そのポテンシャルを評価したオリオールズに7月下旬に移籍。以降はパフォーマンスが向上し、30試合で2勝0敗2セーブ、防御率4.85という成績で、リーグ最多の101勝で地区優勝したチームに貢献した。それでも、シーズン終盤にまた不調に陥ったため、ポストシーズンのロースターには登録されなかった。

 この不安定さが玉にキズだが、素質は誰もが認めるものがある。ベースボールファンなら、藤浪が投げているボールがMLBでも一級品であることは一目瞭然だろう。

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