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藤浪晋太郎はメッツにとって「低コストのギャンブル」 新天地で完全開花なるか (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke

 前述のとり、球速は最高級であり、スイーパーもブーメランのように大きく曲がる。これだけの素材が完全開花すれば......という期待感は常にある。これまでメジャーで多くの好投手を見てきたサモン記者もそれは認めており、同時に希有なポテンシャルを解き放つため、藤浪がニューヨークのマウンドで取り組まなければいけないことも指摘している。

「メッツが藤浪を獲得した理由は、端的に言ってふたつある。まずは速球をはじめ、持ち球の威力がすばらしいこと。そして、オリオールズに在籍していた中の一定期間、メジャーでも力が発揮できると示したことだ。春季キャンプ中にブルペンの役割を勝ち取り、信頼できるリリーフ投手としてシーズンを戦い抜くのがベストシナリオになる。そのために、藤浪はまずは制球を向上させ、四球を減らさなければいけない」

 ルーキーシーズンは適応が難しいとはいえ、昨季の79イニングで45四球、8暴投はやはり多すぎた。その点こそが、ミスの許されないポストシーズンでのロースター落ちにつながったのだろう。逆に言えば、この制球難を解消する術を藤浪が見つけられれば、メジャーでの成功が見えてくる。

【成功のカギはブルペンにあり】

 MLB最大の金満オーナー、スティーブ・コーエン氏に率いられるメッツだが、今オフは大きな補強をほとんどしなかった。全力で獲得を目指した山本由伸をロサンゼルス・ドジャースに奪われると、その後に契約したのは比較的安価な単年契約の選手ばかり。先発ローテーションでは千賀にこそエースの働きが期待できるものの、後に続く投手たちはやや心許ない。

 打線もインパクト不足は否めず、今季のメッツは上位候補には挙げられていない。そんなチームに大きな上積みがあるとすれば、藤浪も名を連ねる救援投手陣。昨春のWBCで大ケガを負った守護神エドウィン・ディアスが復帰してくるブルペンには、サモン記者も「伸びしろがある」と見ている。

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