「大谷翔平は韓国スポーツ史上、最も愛される日本人選手」 現地記者に聞いた、その理由と時代背景とは? (4ページ目)
【大谷翔平が日本人だからという点も気にしない】
いっぽうそのK-POPでも「グループを熱烈に、忠誠心をもって応援するのではなく、この『グループの誰々』だったり『この楽曲が好き』とバラ売りで好む傾向が出てきている」(現地音楽評論家)
これは毎年、韓国社会のトレンドを予言する有名な書籍『トレンドコリア』」の2023年版で言われている傾向とも一致する。2022年12月に発売された同年版では「平均喪失」というキーワードが掲げられた。
かつては「30代男性だったら普通はこうだ」「この収入の層だったらこう消費行動を取る」といった傾向があり、企業側はマーケティングをする際、その一番大きなパイ(平均値)を探せばよかった。しかしそれはもう通じない。個々の消費者が周りを気にせず、好きなものをどんどん見つけていく。そういう傾向だ。
だから、大谷翔平が日本人だからという点も気にしない。いいと思ったら、周りも気にしない。
前述したビッグデータサイト『SOME TREND』では、昨年「オータニ」について韓国での言及量が最大値に達した日付も調べられる。
3月23日だった。
ほかでもない、WBCで日本が優勝を決めた次の日(韓国時間)。韓国でもシンプルに「スゴい」と思って見られていたのだ。
プロフィール
吉崎エイジーニョ (よしざき・えいじーにょ)
ライター。大阪外国語大学(現阪大外国語学部)朝鮮語科卒。サッカー専門誌で13年間韓国サッカーニュースコラムを連載。その他、韓国語にて韓国媒体での連載歴も。2005年には雑誌連載の体当たり取材によりドイツ10部リーグに1シーズン在籍。13試合出場1ゴールを記録した。著書に当時の経験を「儒教・仏教文化圏とキリスト教文化圏のサッカー観の違い」という切り口で記した「メッシと滅私」(集英社新書)など。北九州市出身。本名は吉崎英治。
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