『SHOーTIME』の著者が語る「大谷翔平はメジャー史上において特別な存在。ベーブ・ルースより上だと思っている」 (3ページ目)

  • 佐々木亨●文 text by Sasaki Toru
  • photo by Taguchi Yukihito

── 2022年は、投手にとって最高の栄誉である「サイ・ヤング賞」の候補に挙がりました。近い将来、手にすることはできると思いますか?

「可能性はありますが、非常に難しいと思います。なぜかというと、彼は6日に1回、つまり中5日で登板している。ほとんどの投手は中4日で投げているわけで、単純に考えて投球回数は多いわけですよね。ですから、同じような成績を残した場合、中5日よりも中4日で投げて投球回数が多いピッチャーのほうが優先されて評価されるということが言えます。だから、大谷の場合は圧倒的な成績を残さなければいけないので、そういう意味で困難がともなうと思います」

── 「サイ・ヤング賞」での評価基準は、勝利数なのか、防御率なのか......。

「一番重要なのは防御率です。2番目が投球回数、そして3つ目が奪三振です。勝利数は、現代野球においてピッチャーだけが責任を負えない部分があまりにも多い。対戦相手との兼ね合い、味方打線の出来、守備もそうですね、勝利には多くの要素が絡んでいる。そういうなかでピッチャーを評価するのは難しくなっていますよ。ですから、サイ・ヤング賞において、勝利数というのはそれほど重要なものではないのです」

【MVPは大谷であるべきだった】

── 取材する側として、二刀流の意義をどのように感じていますか?

「マイナーリーグでもそうですが、今までよりも多少は二刀流をやらせてみようという空気は出てきたと思います。ピッチャーであっても打たせる機会が増えている。とはいえ、まだわずかです。簡単に二刀流選手にたどり着くことはできない。たとえたどり着いたとしても、大谷レベルに達するのは難しい。この先、何十年、もっと言えば100年スパンでも、大谷のような二刀流選手は出てこないと思います」

── 大谷選手の成績を語るうえで、ベーブ・ルースが引き合いに出されることがあります。投打二刀流の元祖とも言える100年以上前の偉大な選手と比較されることで、大谷選手のすごさがより際立ちます。

「ふたりには決定的な違いがあります。ベーブ・ルースは、投打二刀流を2年しかやっていない。そもそも、本人はピッチャーをやるつもりがなかった。だから、すぐにピッチャーをやめた。そして、自己管理ができていなかった。その点、大谷は自らが二刀流をやりたいと思っている。しかも、自己管理がしっかりとできている。ですから、ふたりはまったく別で、私は大谷翔平のほうが上だと思っています」

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