『SHOーTIME』の著者が語る「大谷翔平はメジャー史上において特別な存在。ベーブ・ルースより上だと思っている」 (2ページ目)

  • 佐々木亨●文 text by Sasaki Toru
  • photo by Taguchi Yukihito

── 大谷選手はピッチャーとしての可能性を自身も感じながらやっているように映ります。

「彼がプロ入りする時、まずはピッチャーとして考えていたと思うんですよね。バッターというのは、北海道日本ハムファイターズに入ってから加わった要素。だから、ピッチャーが軸となるのは昔も今も変わっていないと思います。ピッチャーとして投げられずに、バッターとして活躍した時期もありましたが、2021年以降、投打でたしかな成績を出している。

 2021年にホームランを量産したことで"打者・大谷"の評価が一気に上がったという側面はありますが、2022年はピッチャーとしての成績が上がった。打者としてもシーズンを通して成績を維持したわけですから、投打両方やることに関して、今は誰も文句を言う人はいないと思います」

【サイ・ヤング賞は難しい】

── 2022年のピッチングは、彼の進化を象徴していたと思います。

「間違いなく2021年よりも2022年のシーズンのほうが、ピッチャーとして優れていましたね。ツーシームを投げるようになりましたし、スライダーの曲がりもよくなった。それによって投球回数も増えた。彼にとって、すべてがピッチャーとしての進化ですよね」

── 彼のピッチングスタイルをどう見ていますか?

「ストレートは減ったと思います。負担を減らすという意味と、長いイニングを投げて後半の勝負どころで球速を上げる。本当に必要な球速を出すという意味で、全体的に速球の数は減っていると思います。そういうなかで、彼のツーシーム、曲がりの大きいスライダーは効果的だと思います」

── ツーシームを投げたのは2022年シーズンの夏場。彼にとってのツーシームは、どんな球種だと思いますか?

「ツーシームが加わることで大きなプラスになりますよね。なぜかというと、フォーシームは打者としてとらえやすいボール。ツーシームは、右打者の内角に食い込む。スライダーは外側への変化ですよね。つまり、内と外、そして真っすぐにいく球を組み合わせることによって効果的なピッチングができる。

 しかも、あれだけの球速を出しますからね。ピッチングの幅は、より広がりますよね。野球の科学を突き詰めていくと、いかにボールを散りばめていくか、そしていかに球速を変えて緩急の差を生み出すかが大切になってくるので、ツーシームを投げることで、さらに進化したピッチャーになったと言えると思います。大谷は奪三振が多い。つまり、彼の球に各打者は反応できていない。今やメジャーリーグでも屈指の好投手ですから、彼と対戦したい打者はいないと思います」

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