大谷翔平がエンゼルスでやるべきことは完遂した。トレード期限まで1週間、優勝候補チームへ移籍する「夢のシナリオ」はあるか? (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

大谷のトレードがエンゼルスにもたらすメリット

 ただ......いずれ再燃する話であれば、急転直下でトレードがまとまってほしいと願うファンも多いに違いない。"鉄は熱いうちに打て"と言うではないか。

 現時点で大谷を放出することは、エンゼルス側にもメリットが大きい。トラウト、アンソニー ・レンドンという主力選手と高額の契約を結んだため補強が難しくなっているが、大谷のトレードの見返りとして一挙に複数の有望株を手にできる。

 大谷は2023年オフにFAになるため、そこで移籍する可能性があるとすれば、トレード価値が最高潮な今のうちに放出し、最大限の見返りを得るということも方向性としては正しい。低迷脱出の糸口が見つかっていないなら、いち早く実行する価値はある。

 辛抱強く"二刀流"に挑ませてくれたという点で、エンゼルスを選んだ大谷の判断はおそらく正しかった。しかし、メジャーでも投打で成功できることを証明した時点で、アナハイムでやるべきことは完遂した。

 次のステップは、より真剣に優勝を目指しているチームに移籍し、ひたむきに勝利を目指すこと。"二刀流"で勝利に貢献できると証明すること。それならば――。
 
 全米のベースボールファンが騒然とするトレード期限まで、1週間を切った。可能性が低いことは承知しているが、ここで大谷が優勝候補チームに移籍するという夢のシナリオに、心のどこかで期待を寄せたくもなる。

 そんな流れが現実となれば、ベースボールはよりエキサイティングに、ポストシーズンもより面白くなる。このスポーツの未来のためにも、誰もが「観たい」と感じるスター選手は相応のステージに立つべきなのだ。

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