2022.07.28

大谷翔平がエンゼルスでやるべきことは完遂した。トレード期限まで1週間、優勝候補チームへ移籍する「夢のシナリオ」はあるか?

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 1918年のベーブ・ルース以来となる「2桁勝利&2桁本塁打」はもう時間の問題だろう。予期せぬ故障以外に、大谷翔平の偉業達成を阻止する要素は見当たらない。昨季に46本塁打、今季もオールスターブレイクまでに19本塁打を放ち、メジャー屈指のパワー打者となった打撃に加え、今季の大谷は投手としての段階をひとつ上げた印象がある。

7月26日に21号本塁打を放った大谷。20号の時と同様に、笑顔を見せずにダイヤモンドを一周7月26日に21号本塁打を放った大谷。20号の時と同様に、笑顔を見せずにダイヤモンドを一周 この記事に関連する写真を見る  前半だけで9勝をマーク。7月22日(現地時間。以下同)のブレーブス 戦では、エンゼルスの"後半戦の開幕投手"も任された。この日は7回に6点を失って負け投手になり10勝目とはならなかったものの、6回までは昨季の世界一チームの強力打線を1安打11奪三振とほぼ完璧に抑えていた。

「(大谷の投手としての素晴らしさは)ストライクゾーンの中で攻めてくるところ。打者にプレッシャーをかけてくるんだ」

 オールスター期間中、ヤンキース投手陣の大黒柱ゲリット・コールは、大谷の投手としての素晴らしさをそう説明した。

 実際に最近の大谷は、約162.8キロ(101.2マイル)を記録した速球、ブーメランのように曲がるスライダー、切れ味鋭いスプリットといった持ち球を堂々とストライクゾーンに投げ込んでいる。多少のコントロールミスも致命傷にならない球威を持つ右腕は、今季終了時に、先発投手としてもエリートとして認められるようになるだろう。

 ただ、それでもエンゼルスの勝利にはなかなか結びついていない。昨季に続いて低空飛行を続けるチームは、7月27日のロイヤルズ戦を終えた時点で借金16。7シーズン連続の負け越しと、8年連続でプレーオフ進出を逃すことがすでに濃厚となっている。

 7月23日、大谷が20号本塁打を放ったゲームは象徴的だった。アトランタでのブレーブス戦で弾丸ライナーの右越え弾を放ったものの、チームは2-7で完敗。節目の一発にも、背番号17はほとんど笑顔を見せないままダイヤモンドを一周した。

 こんな場面を見れば、シーズン途中から大谷のトレード話が噂されるようになったのも、ある意味で仕方なかったのだろう。