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大谷翔平がエンゼルスでやるべきことは完遂した。トレード期限まで1週間、優勝候補チームへ移籍する「夢のシナリオ」はあるか? (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

「マイク・トラウトと大谷翔平を救うべきだ」

 7月18日、ニューヨーク・タイムズにそんなダイレクトなタイトルのコラムが掲載された。内容もなかなか刺激的だ。

「巨大なホームラン、完璧なピッチングが無に終わる彼らの苦悶を考えてみろ。『今のプレーを観たか?』とファンを驚かせるプレーを見せてくれるトラウトと大谷は、負けの連続ではなく、より楽しく喜びに満ちた野球人生を過ごすべきなのだ」

 そこで提示された"2人を救う"ためのアイディアは、「トラウトと大谷には、試合中に3度のマッサージの機会が与えられるべき」「ゲーム中にダグアウトでバーベキューを開催し、ビール、ハンバーガーの飲食を許可する」「トラウトを選手兼監督にする」といったアメリカンジョークが満載だった。ただ、野球ファンであれば、このコラムを書いたライターの真意が理解できるだろう。

 球界のベスト5に入るだろう選手を2人も抱えながら、所属チームは不甲斐ないゲームの連続。トラウト、大谷がすごいプレーを見せれば見せるほど、ファンのフラストレーションも増幅していく。メジャーリーグにおける最大の舞台は紛れもなくポストシーズンであり、そこで2人のプレーを観られないのは損失だ、と言っても大袈裟ではないはずだ。

 どれだけ噂話が飛び交おうと、8月2日に迫ったトレード期限までの大谷の放出は現実的ではないだろう。「ベーブ・ルースの再来」とまで称されるスーパースターをトレードすれば、地元ファンからの強烈な反発があることは必至。スポンサー関連の事情なども考慮すれば、シーズン中の大がかりな動きは考えにくい。

「複数のチームが大谷のトレードを打診したが、エンゼルスには8月2日のトレード期限までにスーパースターを放出する意思はない」

 7月23日、MLBネットワークのジョン・ポール・モロシ記者が自身の公式ツイッターにそう記したことが明らかになった。

 エンゼルスにアプローチしたのは、おそらく今季の優勝を狙うヤンキース、メッツ、ドジャース、あるいは日本人選手と結びつきが強いマリナーズ、レッドソックス、パドレスなどか。トレード期限前の交渉はこのまま沈静化することが濃厚。惨敗が続くエンゼルスで「改革論」が噴出するだろうオフに、あらためて話し合いが催されるはずだ。

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