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秋山翔吾がレッズで活躍できなかった3つのカギ。MLBの流れが変化、逆風をモロに受けてしまった (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

消えゆくナ・リーグの伝統

 昨年レッズでデビューしたジョナサン・インディアは下位打順でデビューしたものの、パワーあふれるバッティングで存在感をアピール。結果、シーズン21本塁打を放ってナ・リーグ新人王を獲得し、秋山選手に代わって1番バッターの座を不動のものとしました。

 その流れを受けて、契約最終年のメジャー3年目であとがない秋山選手も、アベレージヒッターからパワーヒッターへの大改革に挑戦。自主トレでは約10年間、手を加えていなかったバットの形状を変更し、フォームも下半身の使い方を大きく変え、体重増にも着手しました。

 しかし、オープン戦7試合で打率.182。長打は1本もなし、という残念な結果に終わってしまいました。秋山選手も「劇的に変化できることがなかった」と振り返るとおり、パワーを兼ね備えた1番としてアピールできなかった点も、今回の退団につながった要因だと考えます。

 また、今季からナ・リーグがDH制を導入したことも、秋山選手にとって不利な状況になったのでないでしょうか。伝統的にスピードを重んじてきたナ・リーグも、ついにパワー重視の野球へと方針転換を決断。シカゴ・カブス対ミルウォーキー・ブルワーズの開幕シリーズで、両チームとも1番にDHを起用した例は、まさしくその象徴だと思います。

 それに伴い、投手の打順でピンチヒッターを起用することも、投手交代の際に野手も同時に交代させて投手の打順を入れ替えるダブルスイッチという戦術も使われなくなります。結果、控え野手の出場機会は減少するので、秋山選手がさらに厳しい状況に追い込まれたのは間違いないでしょう。

2019年にメジャー全体で新記録となる6776本塁打が記録されたように、今の時代はパワー全盛です。一方、2020年はメジャー全体で2209盗塁。つまり1試合で平均わずか0.90個しか盗塁は記録されませんでした。

 メジャーで盗塁が減少した理由は、選手のケガのリスクを少しでも避けたいと考える傾向が強くなってきたからでしょう。盗塁やバント、ヒットエンドランといった小技を絡めたスピードベースボールは影を潜めつつあり、小技が利く選手の働き場もどんどん失われているのが現状です。

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