「被害者」は大谷翔平だけじゃない。イチローにもあったMLBジャッジとの戦い

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by AP/AFLO

 メジャーリーグの後半戦が始まり、今もっともメジャーを熱くさせているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平への期待は日々高まっていく。

 大谷は前半戦だけで、打者としては両リーグトップ33本のホームランを放ち、投手としては4勝1敗、87奪三振という成績を残した。投打で乗りに乗っている大谷だが、その一方で、大谷に対する厳しいジャッジがいくつもあり、後半戦でもそれによって不利になるのではないかという懸念がある。

投打で厳しいジャッジに苦しむ場面が目立つ大谷投打で厳しいジャッジに苦しむ場面が目立つ大谷この記事に関連する写真を見る 前半戦、打者・大谷は審判の判定に苦戦していた。記憶に新しいのは、現地時間7月10日に行なわれたシアトル・マリナーズ戦の6回表のこと。大谷の第3打席、2−2のカウントで投じられた6球目はストライクゾーンから大きく外に逸れ、大谷が見送ったこのボールを球審はストライクと判定した。この判定に現地のテレビ実況も、「これは本当によくない判定だ」と怒りを露わにした。

『USAトゥデー』系スポーツ紙『フォー・ザ・ウィン』はその翌日、「大谷への最悪の判定にアナウンサー激怒」という見出しで、映像を検証しながらいかにこの判定が間違っているかを綴り、「この球審は最低である」と酷評した。ちなみに、同球審は大谷のこの打席中、6球目とほぼ同じコースに投げられた初球をボールと判定しており、同じ打席のたった5球の間で判定が異なるという異例の事態になった。

 さらに、大谷は投手としても判定に苦しめられている。6月11日の敵地アリゾナ・ダイヤモンドバックス戦で、メジャー初のボークを取られた試合だ。

 5回裏、2アウトで2人の走者を背負った場面で、二塁に牽制しようとマウンドを外した大谷に対し、二塁塁審は即座にボークを宣告。大谷は状況がわからず戸惑っていた。この判定に対し、パドレスのダルビッシュ有は自身のSNSで、「見ている場所によっては膝が先に動いているように見えるのでそこでボークを取った気がします」と分析。だが、その直後にクイックで投球をした大谷に対し、球審と三塁審判が同時にボーク判定を下した。この判定に対して、エンゼルスの指揮官は「不可解だ」と不快感を露わにした。

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