MLBで川﨑宗則、西岡剛らとプレー。イスラエル代表・バレンシアが語る自国と日本の野球

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Getty Images

 田中将大をはじめ、今回の東京五輪には多くの元メジャーリーガーが出場する。日本、アメリカ、ドミニカ共和国など、野球大国の代表メンバーにメジャー経験者が加わることは当然だが、野球の歴史が浅いイスラエル代表にもいることには驚いた。

 そのなかのひとりであるダニー・バレンシアは9年に渡ってメジャーで活躍し、西岡剛、川﨑宗則、岩隈久志、青木宣親らとともにプレーした。

ブルージェイズ時代にチームメイトだったバレンシア(写真左)と川﨑宗則ブルージェイズ時代にチームメイトだったバレンシア(写真左)と川﨑宗則 イスラエル代表のメジャー経験者は、全員がユダヤ系アメリカ人。全世界にユダヤ人は約1400万人いると言われ、そのうち670万人ほどがイスラエルに居住しているが、その次に多いのがアメリカである。

 今回、ユダヤ系アメリカ人の選手たちは、イスラエルの国籍を取得したら代表に参加できるというオリンピック規則に従って、メンバー入りを果たした。

 イスラエルではサッカーやバスケットボール、そしてサーフィンなどの水上スポーツが人気で、野球はまだ途上中。しかし2017年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場し、韓国、台湾、オランダと戦った1次ラウンドを3戦全勝で突破。東京での2次ラウンド初戦でもキューバを破るなど、世界中の野球ファンを驚かせた。

 東京五輪に関しても、スペイン、イタリア、オランダなどが出場したヨーロッパ・アフリカ予選を5勝1敗で1位となり、五輪切符を勝ち取った。

 イスラエル代表の中心選手として活躍するバレンシアだが、2018年シーズン終盤にオリオールズからFAとなりオフを迎えた。2019年シーズンにあたって、34歳のバレンシアにオファーが来たのは、メジャーではなくイスラエル代表だった。

 この年の秋に行なわれたヨーロッパ・アフリカ予選までに国籍を取得。大会では3番・指名打者、もしくは一塁手として打率.375、3本塁打、9打点の大活躍。東京五輪出場の立役者となった。

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