米メディアが「大谷翔平の50ホーマー」の可能性について言及。それを後押しする数字と体の変化 (2ページ目)
近年、米メディアは"バレルゾーン"という言葉をよく使う。このバレルゾーンとは、「打者が打球を長打、またはホームランにできる確率がもっとも高い速度と角度」のことである。
2015年に選手やボールの動きを数値化する「スタットキャスト」システムが導入されてから、メジャーでは投打の速度、回転数、角度、距離などさまざまなデータを集計している。それらのデータを分析した結果、打者に関しては、打球を角度26~30度、初速98マイル(約158キロ)以上で打つことができれば、8割近くが長打またはホームランになることが判明。初速が速くなるほど長打やホームランにできる打球の角度は広がっていき、116マイル(約187キロ)を超えると8~50度でも長打になりやすいとされている。
打球に角度と速度をつける打法はヒューストン・アストロズがいち早く取り入れ、同球団が2017年に世界一を獲得すると米球界全体に拡がっていった。いわゆる「フライボール革命」が起こって以降、メジャーの打者たちはボールをこのゾーン内で捉えるため、スイングスピードの向上や打撃フォームの改造に取り組むようになった。
そんな昨今の流れの中でも、特に今季の大谷はバレルゾーンで捉える力が優れている、と米メディアは伝えている。
大手『CBSスポーツ』は5月5日に掲載した記事で、それまでに大谷が放っていたホームラン9本のデータを分析すると、「大谷の打球の平均初速は92.7マイル(約149キロ)で、メジャー平均88.4マイル(約142キロ)を上回り、最大初速は119マイル(約191キロ)という驚異的な記録を残している」と、パワーのすさまじさを紹介。それを上回る初速記録を持つのは右打者のジャンカルロ・スタントン(ニューヨーク・ヤンキース)のみで、同記事でも「スタットキャスト導入後のメジャーで、大谷は最高の左打者である」と言及している。
また、スポーツ専門メディアの『ザ・スコア』は、「今季の大谷の平均発射角度は17.3度で、キャリア最高」とし、「バレルゾーン内で打球を捉える率(バレル率)は13.3%と、メジャートップクラス。600打席以上立てば50ホーマーも可能性がある」とまで予想。さらに『ESPN』の6月18日の記事では、「大谷の平均初速とホームランの飛距離はメジャーでも5位に位置し、本塁打のうち11本は425 フィート(約129メートル)以上。また、すべての長打のうち上位12本の平均初速は110マイル(約177キロ)を記録している」と、大谷の打球速度が長打を打つための基準となる速度(初速158キロ以上)を大きく上回っていることを明らかにした。
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