菊池雄星が大谷翔平と2年ぶりの対決へ。現地メディアが絶賛する成長と物足りない点

  • 澤良憲●取材・文 text by Sawa Yoshinori
  • photo by AP/AFLO

 シアトル・マリナーズの菊池雄星が今季、メジャー3年目にして大躍進を遂げている。3勝目を挙げた5月30日(現地時間:以下同)の試合まで、6試合連続クオリティースタート(先発投手が6イニング以上を投げ、かつ3自責点以内に抑えること)を記録し、WHIP(投球回あたり与四球・被安打数合計)も1.04と、過去2シーズンに比べて格段にいい数字を残している。

 奪三振数も増えてきており、メジャー1年目の2019年は32試合に先発して116個だったのが、今季は10試合の時点で61個を記録している。サイ・ヤング賞候補にも"ダークホース"として名前が挙がっている。成績のみで語るならば、ここまで3勝3敗、防御率は3.88と特段優れているとは言い難いが、投球内容はすばらしい。

メジャー3年目にして大きな成長を見せる菊池メジャー3年目にして大きな成長を見せる菊池 開幕から調子を上げ続ける菊池だが、これまでの2シーズンと今季はいったい何が変わったのか。現地記者の証言と共に、菊池がメジャーにフィットしてきた点を分析してみよう。

「投球メカニクスが、今季ようやく完成されたと言えます」

マリナーズの地元紙『シアトル・タイムズ』のライアン・ディビッシュ記者は、菊池の好調をそう分析する。

 メジャー1年目を終えた菊池は、2020年のオフから投球フォームの改造に取り組んでいた。シアトル郊外にある「ドライブライン・ベースボール」というトレーニング施設に通った菊池は、腕の軌道を変えたほか、モーションを小さくし、コンパクトでシンプルなフォームになるようトレーニングを重ねた。新しいフォームは大きな成長につながった。平均球速は2020年に比べて3キロ近く速くなり、5月30日のテキサス・レンジャーズ戦では自己最速の98.5マイル(約158.6キロ)もマークした。

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