秋山翔吾、5年目の転機。守備の人→安打製造機へ柳田悠岐に勝ちたかった (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by AFLO


 本塁打を捨てた結果、安打数とともに本塁打数は増えていく。2017年から3年連続20本塁打以上を記録している。

 しかし、秋山は狙って長打を放ったわけではなく、本塁打数の増加に「結構ジレンマがある」と話したこともある。自分が西武で輝くための道は、誰より安打数を重ねることと考えているからだ。

「自分が生き残るためにやってきたのが、ヒットを重ねる、塁に出ることだと思います。自分のスタイルができたのは、ライオンズにホームランを打てるバッターがたくさんいたおかげで、僕みたいな(長打もある)タイプがずっと1番を打たせてもらっていたのもあるし。チームのいろんな選手のおかげで自分の役割を見失わずにやれたのは、本当にありがたかったと思います」

 プロ野球の世界で超一流まで突き抜けられるのは、ほんのひと握りに限られる。秋山の秀でた才能は、チームを見渡し、どの道を進めば自分は最も輝くことができるかを見極め、不断の努力を続けられることだ。本人が言うように、西武に入団したからこそ、現在の秋山翔吾という選手が出来上がった。

 では、レッズに活躍の場を移す今年、どんな変化が訪れるのだろうか。

「選手はチームをよくしたいという思いのなかで、自分に求められていることを全うするのは、絶対大事なことだと思います。どのチームに行ってもそうだと思いますね。たとえば、レッズで求められるものが変われば、必要に応じて変わらないといけない。でも、最初から何かを変えて行こうとは思っていないので。

 自分がやってきたものが、まず通用するかどうか。向こうに行って、何が課題で、何ができるかがまだ見えてないところもあるので、それはおいおい、ですね。ただ(求められることが)急に変わることがあったとしても、自分のなかで受け入れる準備はしています」

 西武でプロ野球の頂点に登り詰めた男は、レッズに移籍してさまざまな差異に直面する。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る