大谷翔平「一番悔しいシーズン」。
理想と現実のギャップに苦しんだ
「個人としてもチームとしても、なかなか思い通りにいかない試合が多かった。今までのなかで一番悔しいシーズンだったかなと思います」
現地時間9月24日、左膝の二分膝蓋骨(しつがいこつ)の手術後初めての記者会見に応じた大谷翔平は、メジャー2年目のシーズンをそう振り返った。
メジャー2年目のシーズンは打者に専念した大谷 今シーズンの大谷は、昨年10月に受けたトミー・ジョン手術(側副靱帯再建手術)の影響で、代名詞の「二刀流」を封印した。主に3番DHとして出場し、MVP有力候補と言われる2番マイク・トラウトと"トラウタニ"コンビを形成。6月13日には日本人初となるメジャーでのサイクルヒットも達成し、106試合で打率.286、18本塁打、62打点を挙げたが、大谷は会見で「満足感が少ない」と語った。
「数年前ならば、(成績に)満足したこともあったかもしれません。でも、(悔しい)気持ちがあることで、まだまだうまくなれるかなと思っている。その気持ちを持って、オフシーズンに向けて準備していきたいです」
前半戦は打率.303、本塁打14本38打点で終えたものの、後半戦に入ると失速。wOBA(打者が1打席あたり、どれだけチームの得点増加に貢献したかを表す数字)の推移を見ても、とくに8月中旬と9月に入ってからは数字を大きく落としている。
追い求める「理想の打撃」とのギャップに苦しんでいる様は、大谷にとって今シーズン最後のカードになった、本拠地エンゼルスタジアムでのインディアンスとの3連戦(9月10~12日)でも見て取れた。
9月10日の初戦は、オールスターのMVPにも輝いたインディアンス先発のシェーン・ビーバーを相手に、2三振を含む4打数ノーヒット。続く11日の2戦目も、4回裏に迎えた第2打席でフォアボールを選んだが、初回の第1打席は初球のストレートを打ち上げてレフトフライ、6回裏もレフトへのファールフライに倒れ、この日も快音は響かなかった。
3戦目も第2打席までノーヒットだったが、5回裏の第3打席で、インコースのスライダーをライナー性の打球でライトスタンドへと運んだ。打球の速さは、大谷自身最速となる114マイル(約183キロ)。このことについて大谷は「引っ張ったので、速度が出るのは普通のことだと思う」としながら、こう続けた。
「あのような打球も打てるようになれば、打撃に幅が出てくるのではないかと。バッターそれぞれに打球が軌道にのるコース(飛距離が出やすいコース)がありますが、僕にとって一番いいのは『広角に打てること』だと思っています」
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