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大谷翔平「一番悔しいシーズン」。
理想と現実のギャップに苦しんだ (2ページ目)

  • 白鳥純一●取材・文 text by Shiratori Junichi
  • 田口有史●写真 photo by Taguchi Yukihito

 相手のショートがセカンドベース付近を守る"大谷シフト"はもうおなじみだが、大谷の打球(アウトになった打球を含む)はセンターからライト寄りの割合が高い。

 もっとも割合が高いのは、左打者にとって「引っ張る」打球になる右中間で33パーセント。センター方向が25パーセント、ライト線寄りの打球が19パーセントと続く。対して左中間への打球は13パーセント、レフト線よりの打球は11パーセントと低くなっている。

 この数字は、昨年から大きな変化はない。しかし大谷は、「(相手バッテリーの)配球にもよる」としながらも、反対方向(レフト)への意識をしっかり持っている。それは、今シーズンに放ったヒットのエリアでも一目瞭然だ。

上が2018年、下が2019年の大谷のエリア別ヒット(『baseballsavant.mlb.com』のデータ)上が2018年、下が2019年の大谷のエリア別ヒット(『baseballsavant.mlb.com』のデータ) 昨シーズンはヒットになる打球もライト方向が多かったが、今シーズンは、"大谷シフト"のスキをつくレフト線へのツーベースヒットをはじめ、反対方向への打球が増加。大谷の打撃の狙いは、9月11日のインディアンス戦で放った2本のレフトフライからも感じられた。

 その試合後のインタビューでは、「『振りはいいかな?』と思う部分はあるけれど、結果に結びついていない。6回のファールフライも、もう少し違う軌道で(バットをボールに)入れられたらよかったのですが」と、自らの意識とスイングにズレがあることも明かした。

 また、シーズン最終戦となった翌日の試合後には、「毎打席のように調整して、(現状で)できる構えをしていますけど、なかなか毎回同じ動きはできません。振り幅を小さくしていかないと。(自分の)状態次第ではありますが、"自分の形"を保ちながらやっていきたい」と語り、来シーズンに向けての目標も口にした。

「(コンディションが)いい時も悪い時もあると思いますが、どこがよくて、どこが悪いのか、原因をきちんと知ることが大切。来シーズンも、打撃の好不調の波はあると思うので、その原因を見極めて対応していきたいです」

 左膝の手術を無事に終え、すでにスローイングの練習を始めたという大谷。9月24日の会見では、「二刀流」復活について次のように述べた。

「楽しみではあります。(来シーズンに)万全の状態でプレーしたい、という判断もあって早めに手術をしました。その期間を無駄にしないように大切に過ごしていきたいです。僕自身は(投手と打者の両方で)出られると思っていますし、そう進んでいくために頑張っていきたい。いい状態でキャンプに入れるように、今からしっかり準備したいと思っています」

 この言葉通りになれば、来シーズンは打者としての出場が減少する。それでも、大谷のバッティングがチームの大きな武器であることに変わりはない。来シーズン開幕までに「理想の打撃」にどれだけ近づけるのか。それを図るバロメーターとして、レフト方向への打球に注目したい。

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