2019.04.08

イチローとキャッチボールをした
同僚が感動。「山ほど聞きたいことが」

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Getty Images

 ジェイ・ブルースがオフにニューヨーク・メッツからシアトル・マリナーズにトレードで入団した際、若い選手たちを支える役を買って出るつもりだった。32歳のブルースは、マリナーズの40人枠のなかで3番目に年上の選手。しかも野手18人のうち12人は1990年代生まれなので、ベテランの存在はチームにとっても大きなものとなる予定だった。

シーズンオフにトレードでメッツからマリナーズに移籍したジェイ・ブルース だが、若手に影響を与えるどころか、ブルースはひとりの選手から刺激を受けたという。その選手とは、45歳にして招待選手としてキャンプに参加していたイチローだった。

「私はこのチームでは、ベテランのひとりなのですが、私よりも14歳年上の選手がいるというのは信じられないことです。それに彼は、この間、オープン戦で盗塁したんですよ。別の世界で存在していると感じているのに、毎日同じグラウンドで練習しているというのは、やっぱり刺激になります。

 イチローがメジャーに来てから、1年目に新人王を獲得しながらMVPも獲り、その後も10年連続オールスター出場、10年連続シーズン200安打など……そういう選手はほかにいません。それに2004年にはこれまでの記録を塗り替えてシーズン最多となる262安打も放ちましたし……」

 驚いたのは、ブルースの口から「262」という数字が当然のように出たことだ。ほとんどの選手は、イチローがシーズン最多安打記録の持ち主であることは知っているが、正確な数字を言える選手はほとんどいない。「280」とか「258」と言う選手はいるが、ブルースは自身がまだ高校生だった頃に成し遂げられた記録のことを、今でもはっきりと覚えている。