2019.03.27

4度目の開幕投手は日本の誇り。
田中将大、準備はOK。公私とも充実だ

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

「感覚的には全然問題なくシーズンに入っていける。 やることはやったと思うので、”その時”を迎えるだけかな」

 現地時間3月23日、フロリダ州タンパでの最後のオープン戦登板を終え、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大は充実感を感じさせる表情でそう述べた。田中が述べた”その時”とは、3月28日にボルチモア・オリオールズと対戦する開幕戦に他ならない。ヤンキースで6年目を迎えた背番号19は、今年もニューヨークで晴れの開幕投手を務めることが発表されている。

ヤンキースで4度目の開幕投手を務める田中 今季は、開幕起用が確実視されていた昨季19勝のルイス・セベリーノが右肩炎症で戦線離脱したため、田中が起用されたという経緯がある。いわゆる”代役開幕投手”であることは、他ならぬ田中本人が認めていたことでもある。

 ただ……ケガは誰にでも起こることで、この時期に健康を保つことも力量の一部という考え方もできる。過去5年間で実績を積み重ね、今春も順調に調整した上で任された大役の価値が変わるわけではない。

 30代に突入して初めて迎えた今回のキャンプ中、田中からは終始余裕が感じられた。温暖なオーストラリアで自主トレを行なった効果もあって、仕上がりは上々。オープン戦5試合で計17回を投げ、23奪三振、防御率2.65という投球内容は貫禄十分だった。

 向上への意欲ももちろん変わっていない。キャンプ序盤には、これまで使用していたカーブよりも球速が速いナックルカーブの練習に取り組んだことが喧伝(けんでん)された。同時に昨季は、「いい頃の感触を失っていた」というカットボールも修正。こうした飽くなき挑戦への姿勢について問われた際には、「5年連続で2ケタ勝とうが、プレーヤーとしてよりいいものを目指すのは当たり前」とさらりと述べた。

「飛行機は上昇気流に乗ることではじめて平行を保てる」というが、生き馬の目を抜くようなMLBでプレーする選手たちも同じだろう。前に進み続けることで、いい成績が保てる。結果を出し続けることで、ようやくチームからの信頼もキープできるのだ。

 過去15年間のヤンキースで、看板ピッチャーの証明である開幕投手を3度以上務めたのはCC・サバシア(6度)と田中だけ。特に多くのスター選手を揃える名門チームでやり遂げてきたことだから、余計に価値がある。メジャーで4度目の開幕投手は日本人投手としては史上最多だが、6年間で4度目というハイペースは”日本人”という枠を飛び越えて意味のある勲章と言える。