イチローに飛び出した「ホームラン競争出場説」。その背景と可能性は?
「イチローがオールスターゲームのホームラン競争に出場か」
ヤンキースタジアムのクラブハウスがそんな話題が持ちきりになったのは、6月20日のニューヨーク・ヤンキース対シアトル・マリナーズ戦の試合前のことだった。発端はこの日、MLBネットワークのラジオに出演した、マリナーズのスコット・サービス監督のこんな提案である。
「多くの選手がホームラン競争に参加したがらないなか、イチが出場すれば素晴らしい。彼は毎日のように打撃練習をして、遠くに飛ばしている。ファンの大きな興味を惹くことになるだろう」
"稀代の天才打者"のホームランダービー参戦は、これまで何度も話題にのぼってきた。小柄な身体でヒットを量産してきたイチローだが、実は打撃練習では豪快な打球を連発することで知られる。
オールスターのホームラン競争に出場するか、その動向が注目されるイチロー ヤンキースタジアムで開催された2008年のオールスターでは、結局は辞退したものの、一時はダービー出場が確実視されていた。マイアミ・マーリンズに所属していた去年も参加要請があったという。
44歳になり、"会長付き特別補佐"という肩書きになった現在も、イチローの意外なパワーは健在。サービス監督の発言があった20日も、フリー打撃では31スイング中11本という高確率で柵越えを放っていた。
3時間にも及ぶ長丁場のホームラン競争はスイングや体力への影響が懸念されるが、イチローは少なくとも今季中はメジャーのゲームに出ないのだから、タイミングのズレを心配する必要もない。MLB広報も「ホームランダービー出場者の規則は臨機応変だから」と、アクティブロースターに入っていない選手の参加に否定的ではなかった。
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