シーズン最後に15奪三振。プレーオフでも「グッド田中」になれるか
「今季の田中は波が激しく、"いい田中(Good Tanaka)"と"悪い田中(Bad Tanaka)"の両方が顔を覗かせる。今日は"いい田中"だ。好調時の田中は、まるで世界最高のピッチャーのように見える」
9月29日、ニューヨークで行なわれたヤンキースvsブルージェイズ戦の真っ最中に、ヤンキース戦の名物ラジオアナウンサー、ジョン・スターリングは、そうまくし立てた。少々トゲがある表現ではあるが、実際に、この日の田中は"世界最高"という大げさな形容を使いたくなるような投球を見せてくれた。
シーズン最終登板で13勝目を挙げた田中 スプリット、スライダーの両方にキレがあり、制球も完璧。5回2死までブルージェイズ打線をパーフェクトに抑え、初安打を許した際には観客席から盛大な拍手が送られた。最終的にはメジャー自己最多となる15三振を奪い、7回を3安打無四球、無失点に封じて4―0での勝利の立役者となった。
このわずか1週間前、やはりブルージェイズ戦に先発した田中は、5回3分の2を投げて8失点(自責点7)と打ち込まれた。同じ相手との対戦で、短期間にこれほどの違いが生まれた理由はどこにあったのか。
「気持ちの部分でしょう。(前回と比べて)コンディションは大差なかったんですが、ボールを投げる心がまえが違いました。バッターと勝負する際のアプローチが全然違ったので、そこが大きかったと思います」
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