古巣ボストンの歓迎にもクール。上原浩治が栄光を振り返るにはまだ早い

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 4月28日、ボストンのフェンウェイ・パークに、久々に上原浩治のテーマ曲である『サンドストーム』が流れた。シカゴ・カブスがボストンに遠征し、レッドソックスと対戦した3連戦。その初戦の2回表が終わったところで、元レッドソックスの3投手、ジョン・レスター、ジョン・ラッキー、そして上原のトリビュートビデオが流されたのである。

4月29日の登板で古巣・レッドソックス打線を3者凡退に抑えた上原4月29日の登板で古巣・レッドソックス打線を3者凡退に抑えた上原 ジャンボトロンに次々と映し出されていくハイライト。最後に2013年のワールドシリーズで優勝を決めたシーンが流れると、画面はカブスのダグアウトにいる上原に切り替わった。42歳の日本人右腕が帽子を取った瞬間----。3万7054人の観衆で埋めつくされた伝統のスタジアムに大歓声が沸き起こった。

「彼がスタンディングオベーションで迎えられることは間違いないし、それに値するよ。(ボストンでの)4年間の実績は、このユニフォームを着た過去のリリーフ投手たちの中でも最高級だった。世界一になるゲームを締めくくった2013年は最高だった。彼の信頼性の高さ、チームメイトとしての素晴らしさを考えれば、彼が4年間いてくれたことは幸運だった。素晴らしいピッチャーだ」

 ゲーム前に、2013年からレッドソックスを率いているジョン・ファレル監督もそんな熱いコメントを残していた通り、上原の古巣凱旋は素晴らしい雰囲気となった。レッドソックスでの4年間で合計79セーブを挙げたリリーフ右腕は忘れられてはいなかった。この日、スタジアムに足を運んだファンは、あの「伝説の秋」に想いを馳せただろう。

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