かつては松井秀喜も。MLBに見る
「2番スラッガー起用」の歴史
楽天ゴールデンイーグルスのカルロス・ペゲーロが「恐怖の2番バッター」として大活躍していることも相まって、日本では「2番に強打者を置く」という新たなスタイルが話題となっています。メジャーリーグの歴史を振り返ってみると、20年ほど前からそのような起用方法が注目されるようになりました。
ブームの火付け役となった2番マイク・トラウト(左)と3番アルバート・プホルス まず思い出されるのは、1990年代後半にシアトル・マリナーズが3番のケン・グリフィー・ジュニアの前にアレックス・ロドリゲスを2番で起用した事例でしょう。のちにメジャー通算696本塁打のA・ロッドと、通算630本塁打のケン・グリフィーを2番・3番に並べるという超強力ラインを誕生させたのです。
ただ、このときA・ロッドを2番に起用したのは、打撃不振から脱出させるのが目的でした。球界を代表するホームランバッター(ケン・グリフィー・ジュニア)が3番にいるので、その前にランナーを溜めたくない相手ピッチャーは2番と対峙するとき、フォアボールを防ぐために速球中心で投球を組み立てる傾向となります。バッター(A・ロッド)からすれば的を絞りやすくなるため、2番を打つことでスランプ脱出のキッカケを掴もうとしたのです。
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著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)