ダルビッシュも続け。トミー・ジョン手術からすぐ復活した男たち
テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有投手がキャンプ地のアリゾナ州サプライズでリハビリ投球を始めました。1度目は15球で、2度目は20球。徐々に球数を増やして、経過が良好ならフリー打撃に登板することになります。
キャンプ地でリハビリをこなすダルビッシュ有。右ひじの手術痕が痛々しい このようなトミー・ジョン手術後のリハビリメニューは、いまや当たり前の光景になってきました。近年のメジャーリーグでは、ピッチャーの球速がアップするにしたがってケガも多くなり、トミー・ジョン手術を受けるケースが増加しています。過去5年間でトミー・ジョン手術を行なったピッチャーは、メジャー全体で151人。年平均で30人、つまり1年に各球団ひとりは手術している計算になります。
トミー・ジョン手術の増加にともなって、成功率も年々高まってきました。現在、手術後にメジャー復帰できた確率は、8割前後と報じられています。ただ、チームのエース級やクローザークラスに絞ると、手術前より成績を上げたケースは3~4割とも言われており、決して簡単な手術ではありません。
過去の日本人投手を見ると、ボストン・レッドソックス時代の松坂大輔投手、ボルチモア・オリオールズ時代の和田毅投手、シカゴ・カブス時代の藤川球児投手がトミー・ジョン手術に踏み切りましたが、その後は実力を発揮できないまま日本球界に戻ってくることになりました。例外といえば、2010年に手術したレッドソックスの田澤純一投手ぐらいでしょう。復帰後は貴重な中継ぎとして活躍しています。
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著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)