世界一のジャイアンツが青木宣親を欲した理由とは? (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu  photo by AFLO

 ナ・リーグで1番バッターを務めるにあたり、出塁率と同じぐらい重要となるのが、実は得点圏打率なんです。ナ・リーグではピッチャーの多くが9番を打つので、8番が出塁すれば、9番が送りバントをして1番につなぎます。すると、1番バッターは得点圏にランナーを置いた状況で打席に立つことになるので、チャンスに強いことも必要とされるのです。ブランコと青木選手を比較すると、1番での得点圏打率は、ブランコ=.267に対して青木選手=.296。ここでも、青木選手のほうが良い数字を残しています。

 本来、ジャイアンツの1番バッターは、センターを守るパガンが務めていました。しかし、パガンは故障の多い選手で、過去2年間の成績を見ても、2013年は71試合、そして2014年も96試合しか出場していません。特に昨年は、9月に腰の椎間板手術をして残りシーズンを全休しました。今年の開幕までに復帰する予定ですが、どれだけ調子が戻っているかは不明です。そんな悩みを抱えるジャイアンツにとって、青木選手はまさにウィークポイントを埋める貴重な存在といえるでしょう。

 ジャイアンツは外野の広い本拠地AT&Tパークの特性を生かし、投手力を生かした野球を目指しています。ただ、裏を返していうならば、「打撃力がない」ということでもあります。2012年に世界一になったときも、チーム本塁打数(103本)はメジャー最下位。昨年もメジャー30球団中17位(132本)で、ポストシーズンでは合計17試合で7本塁打しか打てていません。

 だからといって、ジャイアンツはスピードがあるわけでもないのです。チーム盗塁数(56個)は、メジャー29位。チーム出塁率(.311)もメジャー18位なので、機動力を生かしたスモールベースボールとも言えません。

 よって、1番バッターのパガンが不調だった場合は、出塁率が高く、スピード豊かな青木選手が先頭打者として起用される可能性は高いと思います。それほど両者に実力差があるわけではないので、キャンプでの仕上がり具合や、開幕直後の調子いかんでは、青木選手がリードオフマンとしてジャイアンツを牽引する可能性は十分にあります。

 ジャイアンツは、日本人に縁の深いチームだと思います。古くは1964年に「マッシー・ムラカミ」こと村上雅則投手が日本人メジャーリーガー第1号となり、2002年にはニューヨーク・メッツから移籍してきた新庄剛志選手がセンターのポジションでリーグ優勝に貢献し、日本人として初めてワールドシリーズの舞台に立ちました。

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