ダルビッシュのカーブに全米騒然。最古の変化球の魅力
6月28日のミネソタ・ツインズ戦で8回4安打無失点の好投を演じ、今季8勝目をマークしたテキサス・レンジャーズのダルビッシュ有投手。この試合で特に目を引いたのは、4番のケンドリス・モラレスを時速94マイル(約151キロ)の速球で攻めたあと、59マイル(約95キロ)のカーブで二塁ゴロに仕留めたシーンでした。なぜならば今、「ダルビッシュ投手のカーブがすごい」と話題になっているからです。
「メジャー屈指のカーブ」と評価されているレンジャーズのダルビッシュ有 前回にダルビッシュ投手が登板した6月22日のロサンゼルス・エンゼルス戦は、スポーツ専門局のESPNが全米中継していました。そのとき、ダルビッシュ投手がいかにすごいピッチャーかということを、解説者がいろいろと紹介していたのです。
そこで取り上げられていたのは、どれも一級品と言われているダルビッシュ投手の7つの球種。それら7つがキャッチャーミットに収まるまでの軌道を映像で重ね合わせ、いかに変化しているかを解説していました。7つの球種とは、(1)フォーシーム、(2)ツーシーム、(3)スプリッター、(4)カッター、(5)スライダー、(6)チェンジアップ、(7)カーブです。そして、その中でも特に絶賛されていたのが、「カーブ」だったのです。
ESPNのテレビ中継では、カーブの変化だけでなく、球速の違いについても着目していました。過去にダルビッシュ投手が投げたカーブでピックアップされたのは、以下の3つ。昨年8月31日のミネソタ・ツインズ戦でトレバー・プルーフに投げた61マイル(約98キロ)のカーブ、今年5月23日のデトロイト・タイガース戦でトリー・ハンターへの54.7マイル(約88キロ)のカーブ、そして今年6月1日のワシントン・ナショナルズ戦でアダム・ラローシュに投じた59マイル(約95キロ)のカーブです。プルーフは空振り三振、ラローシュは見逃し三振に切って取りました。
今シーズン、ダルビッシュ投手が投げた最も早いストレートは96.6マイル(約155キロ)。対して、最も遅いカーブは54.7マイル(約88キロ)。つまり、ストレートとカーブの球速差は、なんと67キロもあるのです。ESPNの解説者も驚くぐらいの球速差でキレのあるカーブが放たれるのですから、相手バッターは手も足もでません。
1 / 3
著者プロフィール
福島良一 (ふくしま・よしかず)
1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima)