今季初勝利の松坂大輔。先発ローテに食い込むための最短ルートは? (2ページ目)
昔からアメリカでは、「日本人投手は、先発よりもリリーフのほうが向いている」と言われています。その理由のひとつは、スタミナの問題でしょう。日本では週に1度の先発ですが、メジャーでは中4日での登板を求められます。しかも、そのローテーションで162試合の長丁場を投げ抜かねばならないのです。日本人投手が一番苦しむのは、まさにこの点でしょう。
そしてもうひとつの理由は、オリンピックやワールド・ベースボール・クラシックなどの国際大会からうかがい知ることができます。アメリカ代表などの他の国々は、先発は先発、リリーフはリリーフと、従来のポジションの中から投手を選出しています。しかし、日本代表の投手陣の多くは先発ピッチャーで、選ばれた彼らはリリーフとして急きょ起用されても国際大会でしっかりと結果を残しました。かつてオリックスでも指揮を奮ったメッツのテリー・コリンズ監督は、このような日本人投手の器用さを買っているのではないでしょうか。「松坂は適応能力がある」とコリンズ監督が語っているように、松坂投手をリリーフに起用している理由も、そのような考えが背景にあるように感じます。
ただ、松坂投手は先発への復帰を希望しており、リリーフで成功することが必ずしも彼にとって良いこととは限りません。それでは、どのような道筋を歩めば松坂投手が先発に復帰できるのか、現状を踏まえて考えてみたいと思います。
まず、先発投手以外をひと括りに「リリーフ投手」と言いますが、彼らの役割は細かく分かれています。先発が早く降板したときに起用されるロングリリーフ、試合終盤に向けて試合をつなぐセットアッパー、そして試合を締めくくるクローザーなどです。現在、コリンズ監督は松坂投手をいろいろと試していますが、今後、一番可能性の高い起用方法は、ロングリリーフ要員としてベンチに置き、ローテーションに谷間が生じたときには先発させる、「スポットスターター」としてのポジションではないでしょうか。
メジャーリーグではベンチ入り25人のうち、先発投手が5人、リリーフが7~8人、計12~13人の投手陣で構成するのが基本です。また、リリーフの人数には限りがあるので、ロングリリーフの役割を持つ投手がチームにひとりは必要となります。そのような投手は先発ローテーションの谷間にスポットスターターとしても起用されるので、両方の役割を兼ね備えることから、メジャーでは「スイングマン」と呼ばれています。
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