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今季初勝利の松坂大輔。先発ローテに食い込むための最短ルートは? (3ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 ただ、スイングマンというポジションから、先発の一角を担うまでになった投手も、過去をさかのぼれば数多(あまた)あります。近年では、ヤンキースのデビッド・フェルプスが良い例ではないでしょうか。2008年にドラフト14巡目全体440位という下位指名ながら、2012年にメジャーデビューを果たすと、フェルプスは安定感のあるロングリリーフ要員として好成績を残しました。すると、フレディ・ガルシアの不振や、CC・サバシアの故障により、名門ヤンキースの先発ローテの一員に抜擢されたのです。

 今シーズンもフェルプスはリリーフとして投げながら、すでに先発としても2度登板しています。今シーズンのヤンキース先発陣は、ローテーションの一角を占めていたイバン・ノバが右ひじ手術で今季絶望となり、不正投球で退場処分となったマイケル・ピネダと、エースのサバシアも故障者リスト入り。苦しい台所事情なだけに、フェルプスが再び先発ローテのメンバーとなる可能性は十分にあります。

 また、レッドソックスのフェリックス・ドゥブロンというベネズエラ出身左腕も、スイングマンというポジションから先発ローテに食い込んだ投手のひとりです。150キロを超える速球とチェンジアップを駆使してリリーフで実績を残した結果、2012年から先発メンバーに抜擢され、2年連続でふたケタ勝利を挙げています。このように、ロングリリーフで結果を残した投手には、先発として起用されるチャンスが十分にあるのです。

 たしかに、30代のベテランとなった松坂投手が先発に復帰するのは容易なことではないでしょう。ただ、松坂投手に再び先発としてマウンドに立ってもらいたいファンは大勢います。まずは早いイニングで登板したとき、ロングリリーフとして確実に結果を残していけば、長いシーズンの中で必ずチャンスは訪れます。そして、スポットスターターとして起用された際、コリンズ監督を納得させられるピッチングを披露すれば、先発ローテーションの一員として再考する可能性も大いにあるでしょう。先発ローテ復帰への最短ルートは、「スイングマン」としてロングリリーフとスポットスターターでともに結果を残すことです。これからの松坂投手の奮闘に期待しています。

著者プロフィール

  • 福島良一

    福島良一 (ふくしま・よしかず)

    1956年生まれ。千葉県出身。高校2年で渡米して以来、毎年現地でメジャーリーグを観戦し、中央大学卒業後、フリーのスポーツライターに。これまで日刊スポーツ、共同通信社などへの執筆や、NHKのメジャーリーグ中継の解説などで活躍。主な著書に『大リーグ物語』(講談社)、『大リーグ雑学ノート』(ダイヤモンド社)など。■ツイッター(twitter.com/YoshFukushima

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