2014.05.09

田澤純一秘話。マイナー時代に教わった「メジャーで生きる道」

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by Getty Images

 精悍(せいかん)さが増し、すっかりたくましくなったレッドソックスの田澤純一。上原浩治とともにチームの「勝利の方程式」を支え、昨シーズンはレギュラーシーズン71試合、ポストシーズン13試合を投げ抜き、世界一に貢献した。今やレッドソックスに欠かせない存在となった田澤だが、早いもので、今年でメジャー挑戦6年目を迎え、もうすぐ28歳になる。

メジャー挑戦6年目を迎えた田澤純一。

 今季は開幕から11試合連続無失点を記録し、登板はすべて7回以降。常時95マイル(約152キロ)以上を計時するパワー投手である田澤だが、4月は12試合(10回1/3)に登板して与えた四球はわずか1個。球威に加え、抜群の制球力も武器としている。だからであろう。彼のコメントにも少しずつ味わいが出てきたように思う。

 例えば4月11日(現地時間)、チーム11試合目にして6試合目の登板を果たし、登板過多を問われると、「まあ、いいんじゃないかと思っています。使ってもらえただけ良かったかなと。干されないように頑張ります」とコメントすると、無失点で抑えたことについては「必死こいて、アウトを取りにいきました」と笑わせた。

 日本人メジャーリーガーの主流と違い、NPBでのプレイ経験のない田澤は、現在、日本人でただひとりとなる叩き上げのメジャーリーガーだ。その彼が、メジャーでパワー投手と位置づけられ、最速98マイル(約157キロ)のストレートで抑え込んでいることが嬉しい。だが、田澤はもともとパワー投手であったわけではない。

 先発からブルペンへと配置転換されたことや、2010年にトミー・ジョン手術を受け、右ひじが強化されたことが球速アップの要因であるが、マイナーから叩き上げられた事実こそが、ストレートで勝負できる投手に育っていった大きな理由だと思う。

 ルーキーイヤーの2009年、2Aで先発投手としてスタートした田澤に、レッドソックスの育成担当者が徹底的に教え込んだことがある。

「初球は絶対にストライクゾーンへのストレート。ワンストライクとするか、打ち取るか。これが最も大事なことだ」