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ポスティング問題、「早期解決」は日本だけの儚い夢 (2ページ目)

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by AP/AFLO

 早期の新制度成立を願うのは、MLBもNPBも同じである。楽天の田中将大がMLB各球団のターゲットであることも事実である。だが、米国内ではヤンキース、ドジャースといったビッグマーケット球団と、パイレーツを代表とするスモールマーケット球団の間で、高騰を続ける入札額をめぐり、意見の対立が続いている。その代表例が、入札金を年俸総額に含むのか、含まないのかである。メジャーは年俸総額が1億8900万ドルを超えた球団は、超過金額に対して一定割合の「ぜいたく税」を支払わなくてはならない。そのため資金のある球団はこれまでと同じように「含まない」と主張し、資金が潤沢でない球団は「含むべき」だと主張する。

 ただ、現在の労使協定では、入札金は選手年俸に含まないと記されており、その期限は2016年までとなっている。そして選手会は、その時まで現行の労使協定改訂について話し合いの場を持たないと断言している。まさに、米国側の修正案作成作業は困難を極めているのである。

 そんな折、先述したようにNPBは米国の感謝祭休暇の2日前に緊急渡米してきた。感謝祭休暇は日本でたとえるなら、年末年始休暇のようなもの。そんな時期にNPBは真剣勝負の交渉にやって来た。すでに休暇に入っていた職員も多かったと聞く。今回の交渉でMLB側にどれだけの実務担当者がいたのかさえ定かでない。

 早期解決を目指したいNPBの努力を批判するつもりはないが、相手を知り、理解するという交渉の大前提を考えれば、日本側は自分たちの懸念材料や言い分ばかりを優先してしまっている印象を受けた。

 今後はビッグマーケット球団、スモールマーケット球団、MLB選手会、そして日本側の4者が妥協しあえるポイントを探す作業になるだろう。双方の話し合いは週明けから再開されることが確認されているが、はたして事態の進展は見込めるのか。早期合意だけは現実的に厳しいと思うのだが......。

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