2013.12.01

ポスティング問題、「早期解決」は日本だけの儚い夢

  • 笹田幸嗣●文 text by Sasada Koji
  • photo by AP/AFLO

 一度は合意に達しながらMLB(大リーグ機構)側の白紙撤回により、見直しを余儀なくされたポスティングシステムの新制度案。そのためMLBとNPB(日本野球機構)で再び話し合いが行なわれることになったのだが、それを前に日本から伝わってきた「11月中にも新ポスティングシステム制度合意か」といった論調には、在米日本人記者にはまったく理解できないものだった。どこでそのような報道になったのかはわからないが、現地でMLBを取材している者からすれば11月に合意に至るなど到底思えなかったからだ。

記者たちの質問に答えるヤンキースのブライアン・キャッシュマンGM

 今回、まさにそれを実感したのが、NPBの交渉担当者である伊藤修久法規部長だったのではないだろうか。

 11月26日、27日(現地時間)の両日、新システムの早期合意を目指し、伊藤部長はNPBの総意を受け、弁護士を伴ってニューヨークにあるMLB本部を訪れた。彼らが今回渡米した狙いは「大筋合意」にあったことは間違いない。だが、2日間の交渉を終え、伊藤部長が語った言葉に、MLB側が抱える問題をNPBがようやく把握した感があった。

「われわれ日本側と話す前の段階で、三者(MLBのビッグマーケット球団、スモールマーケット球団、MLB選手会)を満足させる案を作ることが非常に難しいことがわかりました」

 11月14日のオーナー会議後、日米間で一度は合意していた新制度はMLB側によって白紙撤回され、新しい修正案を出すと一方的に発表された。日本の選手会が異議を唱え、締結に時間がかかってしまったことが原因とされたが、昨今、MLBの各球団は高騰を続ける入札額を問題視していた。現状では、MLB側はいまだに修正案をまとめることができずに苦労している。それはMLBの交渉担当者であるキム・アング副社長の「進展がない」という言葉に集約されている。