ポスティング新制度案を白紙に戻した、MLBの本音
11月11日(現地時間)から14日にかけて、フロリダ州オーランドでMLBのGM会議及びオーナー会議が行なわれた。話題の中心は間違いなく楽天の田中将大だったのだが、14日の会議終了後、MLBはNPB(日本野球機構)との間で合意に達していたポスティングシステムの新制度を取り下げ、数週間以内に修正案を提出すると発表。事態の急変に日米メディアは騒然となった。
ポスティングシステムの新制度案を白紙に戻した、MLBの最高執行責任者、ロブ・マンフレッド氏。
まさに青天の霹靂(へきれき)だった。MLBのロブ・マンフレッド最高執行責任者(COO)は、「日本の総意が出るのに時間がかかり過ぎた。情勢は変わった。我々にとってポスティングのない状況は受け入れられること。選手たちはFAになれば米国でプレイできるのだから」と新制度の取り下げだけでなく、ポスティングシステムの廃止までも匂わせた。
ポスティングシステムの廃止はさておき、新制度の取り下げについては、MLBとNPBで合意に達していたものを日本プロ野球の選手会が異議を唱え、合意の発表を先送りしたことが原因になってしまった。
新制度では、旧制度で最高入札額を得ていた日本の球団が、最高額と2番目の間となる金額を得る点などが変更された。しかし、複数球団との交渉は実現せず、日本プロ野球選手会が「メリットがない」と異議を唱えて合意発表は先延ばしになっていた。11月中旬になっても合意できなかったことで、オフの予算繰りに影響が出るMLBの各球団に焦りが生じていたのは間違いない。
今年の米国のFA市場において、先発投手の市場は品薄だ。カンザスシティ・ロイヤルズからFAとなったアルビン・サンタナ(30歳)は、どこの球団でも先発投手として責任を果たすだろうが、せいぜい3番手止まり。それはロサンゼルス・ドジャースからFAとなったリッキー・ノラスコ(30歳)も同じ。エースになる力量の投手はいない。そんな今年のFA市場の状況もあって、田中の評価はどんどん上がっていった。
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