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上原浩治が辛口のボストンメディアに愛されたワケ (3ページ目)

  • 佐藤直子●文 text by Sato Naoko
  • アフロ●写真 photo by AFLO

 それが顕著だったのが、レイズと戦った地区シリーズの第3戦だ。9回二死からホセ・ロバトンにサヨナラ本塁打を浴びて敗戦投手になった。レギュラーシーズンを含めて39試合ぶりの被弾。この時は、ボストン・グローブ、ボストン・ヘラルドの地元有力2紙をはじめ、プロビデンス・ジャーナル、地元スポーツ専門局NESN、全米スポーツ専門局ESPNなど主要メディアは、捕手のジャロッド・サルタラマッキアの言葉を引用しながら、「コウジだって人間なんだ」と擁護の論調を貫いた。それまでの勝利への貢献ぶりを考えたら、さすがの米メディアも辛口にはなれなかった。

 リーグ優勝決定シリーズのMVP獲得直後のインタビューで、「吐きそうだった」と素直な気持ちを伝えたことも、メディアからの好感を得たようだ。

 10月29日付けのUSAトゥデイ紙は、「レッドソックスには、球界最高、そして最も愛すべきクローザーがいる」と見出しを立て、さらに「レッドソックスは嫌いでも、愛すべきは38歳のクローザー」と上原を称えた。

 プレイオフ開始直前の10月3日(現地時間)には、地元ボストンの敏腕記者で、現在ESPNボストンに寄稿するゴードン・イーデス記者が「上原浩治の数奇な旅(Koji Uehara’s unusual journey)と題し、高校時代は外野手だったこと、浪人中は警備員のアルバイトをしていたこと、さらに体育教師を目指していたことなど、上原がレッドソックスの守護神になるまでたどった道のりを紹介した。

 ワールドシリーズが終った今も、上原を称える声は後を絶たない。地元ボストンで働くあるタクシー運転手は、「コウジ! コウジは日本からの最高の贈り物だ。ありがたい」と両手を合わせて拝(おが)んでいた。2013年シーズンの話題になるたび、コウジ・ウエハラの名前はボストン市民の間で語り継がれることになるだろう。

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