9月に大逆転の予感。ワイルドカード争いは、このチームに要注意 (2ページ目)

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 2012年にワイルドカードが拡大(※)されたことで、より多くの逆転劇が生まれるようになったのではないでしょうか。そして今年も、面白い展開になりそうな予感がします。地区優勝は厳しいですが、脅威の逆転劇でワイルドカードに食い込みそうなチームをピックアップしてみましょう。

(※)2012年よりワイルドカード枠の上位2チームが1試合のプレイオフを戦い、勝ったチームがディビジョンシリーズに出場するシステムに変更された。

 まず、ア・リーグで気になるチームは、ニューヨーク・ヤンキース(75勝65敗/東地区3位)と、カンザスシティ・ロイヤルズ(73勝67敗/中地区3位)です。8月31日終了時点でヤンキースは、東地区首位のボストン・レッドソックに8ゲーム差の3位。さすがにこのゲーム差では、地区優勝は厳しいでしょう。しかし、ワイルドカードでは首位と3.5ゲーム差。プレイオフに進出できる可能性は十分あると思います。

 ヤンキースにとって朗報は、自慢の強力打線が復活の兆しを見せ始めた点でしょう。7月まではまったく打てずに苦しんでいましたが、7月26日にシカゴ・カブスからアルフォンソ・ソリアーノを獲得。さらに8月に入ると、カーティス・グランダーソンやアレックス・ロドリゲス、そしてデレク・ジーターといった主力選手が次々と故障から復帰し、本来の顔ぶれがようやく揃ってきました。その結果、得点力も大幅にアップ。ヤンキースらしい試合が見られるようになったのです。

 もともとヤンキースというチームは、序盤から首位を独走するのではなく、シーズン終盤に追い上げてプレイオフで結果を残すチームなんです。今シーズンも8月11日から8月31日の20試合で14勝6敗を記録し、勝率7割と絶好調。なにより、終盤のプレッシャーに強い先発三本柱、CC・サバシア、黒田博樹投手、アンディ・ペティットの存在が大きいと思います。また、ライバルのレッドソックス戦を6試合も残しているので、直接対決の結果次第ではプレイオフ進出に大きく前進するでしょう。

 一方のロイヤルズも、8月末の段階で中地区首位のデトロイト・タイガースに10.5ゲーム差をつけられ、地区優勝する可能性はほとんどない状態です。また、ワイルドカードでも首位と6.5ゲーム差。こちらも厳しい状況は変わりません。しかし今年のロイヤルズは、投手陣が非常に素晴らしい結果を残しています。ア・リーグ1位のチーム防御率3.46を記録し、特にシーズン後半の成績は防御率2.69。ア・リーグで断トツの数字をマークしているのです。

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