MLB新人王争い、ヒートアップ。噂のキューバ人が大ブレイク!

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu photo by AFLO

 レギュラーシーズンも9月に突入し、現地アメリカでは、「新人王に輝くのは誰だ?」という話題で盛り上がっています。特に今年は、シーズン途中からメジャーに昇格した選手が予想以上の活躍を見せているので、今回は新人王レースを賑わせているルーキーたちを紹介したいと思います。

ドジャース躍進の原動力となっているのが、デビューしたばかりのヤシエル・プイグだドジャース躍進の原動力となっているのが、デビューしたばかりのヤシエル・プイグだ まず今シーズン、最も衝撃的なデビューを飾ったのは、ロサンゼルス・ドジャースのヤシエル・プイグで間違いないでしょう。昨年6月、キューバ代表として活躍していた22歳の外野手はメキシコに亡命し、ドジャースと7年総額4200万ドル(約41億1000円)で契約。ドジャースはプイグのプレイを一度だけ見て大型契約を決めたことで話題となりました。プイグは昨シーズン、マイナーリーグでプレイし、今シーズンもダブルAで開幕。しかし、マイナーで早々に結果を残し、6月3日にメジャーデビューするやいなや大ブレイクしたのです。

 メジャーに昇格したプイグは、最初の1ヵ月で打率.438・7本塁打・16打点の大活躍。なんと、デビュー直後にナ・リーグ月間MVPに輝きました。デビューした月に放った44安打は、1936年にデビューした元ニューヨーク・ヤンキースのジョー・ディマジオの48安打に次ぐ大記録です。その後もプイグはヒットを量産し、メジャー最初の50試合で記録した「70安打・10本塁打以上」も、ディマジオ以来の快挙。9月1日現在、プイグの打撃成績は77試合に出場して、打率.354・13本塁打・31打点・104安打・10盗塁。開幕から2ヵ月遅れのデビューにもかかわらず、ほとんどの新人打撃部門で上位を占めています(打率=ナ・リーグ1位、安打数=同2位、本塁打数=同3位、盗塁=同2位)。

 何より注目すべきは、プイグの活躍によってドジャースが驚異的な快進撃を見せたことでしょう。6月21日時点で30勝42敗の借金12、首位から9.5ゲーム差の最下位だったのが、その後の50試合で42勝8敗・勝率.840。ナ・リーグ西地区の最下位から、一気に首位へと躍り出ました。その後もドジャースの勢いは止まらず、現在80勝55敗で2位のアリゾナ・ダイヤモンドバックスに10.5ゲーム差をつけての独走です。この快進撃は、プイグの存在なくしてあり得なかったでしょう。

 またプイグは、カール・クロフォードの代わりに1番や2番、さらに故障がちなマット・ケンプの穴を埋めるために4番を任されるなど、リードオフマンから主砲の役割までこなしています。まさに、プイグはドジャースの救世主。新人王だけでなく、ナ・リーグMVPに推す声も日に日に高まっています。6月デビューの選手としては、異例なことだと思います。

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