2012.11.09

【MLB】2012年を振り返る・後編。45年ぶりの「三冠王」を生んだ電撃移籍

  • 福島良一●解説 analysis by Fukushima Yoshikazu
  • photo by AFLO

メジャー最強の3番・4番コンビとなったミゲル・カブレラ(左)とプリンス・フィルダー(右)2012年『忘れてはいけない』メジャーリーグ十大ニュース・後編

 45年ぶりの三冠王誕生や、脅威のルーキーの大ブレイクなど、2012年は特に印象深いシーズンだったのではないでしょうか。そんな球史に残る決して『忘れてはいけない』出来事を、ピックアップしていきたいと思います。

5位 マイク・トラウト、球聖タイ・カッブの大記録に挑戦

 ワシントン・ナショナルズのブライス・ハーパーと、ロサンゼルス・エンゼルスのマイク・トラウト。2012年、全米中に大旋風を巻き起こした新人ふたりの活躍は、『ルーキー・センセーション』と呼ばれました。この大フィーバーは、1951年、ニューヨーク・ヤンキースのミッキー・マントルとニューヨーク・ジャイアンツのウィリー・メイズ、彼らが同時にデビューしたときと同じぐらいのセンセーショナルな出来事ではないでしょうか。

 特に強烈なインパクトを残したのが、今年20歳で本格的にデビューしたトラウトです。打率.326(リーグ2位)、129得点(同1位)、49盗塁(同1位)、長打率.564(同3位)......。トラウトはレギュラー1年目から数々のすごい記録を残しました。最も注目すべきは、『打率』と『盗塁数』と『長打率』です。もし、3部門すべてでリーグ1位になると、1900年代草創期の大スターだった『球聖』タイ・カッブ(1907年、1909年、1911年、1917年/当時デトロイト・タイガース)と、『史上最高の遊撃手』ホーナス・ワグナー(1904年、1907年、1908年/当時ピッツバーグ・パイレーツ)以来、3人目の大快挙だったのです。

 しかもこの記録は、1920年代以降の『飛ぶボール時代』では、ひとりも成し遂げていません。そんな金字塔に、トラウトはシーズン終盤まで肉薄したのです。結果的には打率リーグ2位、長打率リーグ3位でしたが、伝説のプレイヤーと肩を並べるほどの活躍ぶりは、決して忘れてはいけない出来事でしょう。先日、トラウトはアメリカ随一の野球専門誌『ベースボール・アメリカ』の最優秀選手と新人王をダブル受賞しましたが、トラウトの登場により、メジャーリーグに新たな『黄金時代』が訪れそうな予感です。